名前を呼んで
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「大介ぇ…。」
「お前…こんな時にだけ名前で呼ぶのは卑怯だろう…。」
自分の硬い胸板に押し付けると、胸の中で蚊の鳴くような声が名前を呼んだ。うなじから頭にかけて髪を乱暴に撫で上げて、一呼吸して胸から離す。
恥ずかしそうに俯くかもめに加虐心が湧いて、その顎に手を添えて持ち上げる。
「呼んでみろよ、もう一度。」
「やだ…恥ずかしいよ…。」
「名前を呼ぶのがそんなに恥ずかしいのか?」
「だって…そんなにじっと見ないで…。」
顔を両手で覆いつつ、指の隙間から続ける。
「結構、普通に呼んでるよ。嬉しいなって思った時とか、かっこいいなって思った時とか。」
「それは心の中の話か?声に出さなきゃ俺にゃ聞こえねぇ。」
「だって…許して。呼ぶだけで胸がいっぱいになっちゃうの。」
「かもめ。」
「なぁに…もう…意地悪しないでったら。」
両手を握って顔を隠せないようにしてやる。全く、五ヱ門やルパンにはいじめるなとたしなめておきながら、自分が一番いじめている。まぁ良い。こいつをいじめていいのは俺だけだ。
「かもめ。」
「だ…ぅ…大介…。」
「本当にお前は妙なことを恥ずかしがるな、かもめ。」
「慎みがあると言ってよ。それに…。」
「それに、何だ?」
「ちょっとくらい恥ずかしい方が楽しいでしょ?」
さっきまで子供のように照れてモジモジしていた表情に、一瞬大人の色香が香って、その対比に肌が泡立つ。
「言ったな。」
服の下に手を這わせると、かもめは体を跳ねさせ、小さな悲鳴をあげた。
「ひゃ…ちょっと、こんな所で!」
「誘ったのはお前の方。」
「だけど…今じゃ…ルパンも五ヱ門もそばにいるのに…」
「大丈夫さ、お前が声出さなきゃ。」
***
「五ヱ門ちゃんよう。」
「何だ。ルパン。」
「俺らまたダシにされた気がするんだけど、気のせいかねぇ。」
「気のせいでは無かろう。」
盛大にため息をつく二人だった。