名前を呼んで
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「次元。」
「何だ?」
俺の名前を、下の名前で呼ぶ奴はいない。
恐らく、単純に名字の方が短いからで。
自分としても、名字で呼ばれることに慣れているし、どちらで呼ばれる方が好きかと聞かれたら、どっちでもいいな、と答えてしまう。ただ、ふとした瞬間に、
「あ、五ヱ門。」
「ねぇ、ルパン。」
こいつに名前を呼ばれないのは俺だけか、と、気付いてしまっただけだ。今更呼び方一つにゴチャゴチャこだわるような歳ではない。だが、ただ、何となく、面白くない。
「かもめ。」
「なぁに?」
俺の名前、ちゃんと知ってるか?
そんな当たり前のような質問をしようとして、派手なスーツの相棒に先を越された。
「かもめちゃんってさ、次元に呼ばれた時だけそんなふうに返事するよな。」
「そんなふうにって何?」
私の返事の仕方、変だった?と眉をハの字にするかもめにルパンは続ける。
「俺や五ヱ門が呼ぶ時は、短く何?って返事で、次元の時だけなとにの間にちっちゃな「ぁ」が入ってるんだよ。」
「確かに。」
五ヱ門にも賛同されて、かもめは耳を赤くした。
「…全然意識してなかったんだけど、そうなの?」
ウンウン、と二人に頷かれ、かもめはこちらを見る。
「…そうなの?」
「あー…。」
自分への返事だから、そう意識したことはなかった。
「かもめちゃん!」
「うぇ、な…何…。」
「かもめ殿!」
「もう、何…?」
これは、振りか?
「かもめ。」
「なぁに…?…ぅぁ…もう…やだ…」
ほらー!と指を刺す二人にかもめは目の淵に涙を貯めて、少しでも顔を隠したいのだろう、襟を立てた。
「し…仕方ないじゃん癖なんだもん…。」
「かもめちゃん。」
「もう!何!」
「かもめ殿。」
「もう…何なの…。」
おっさん二人にジト目で迫られている。さすがに可哀想になって助け舟を出す。
「お前ら止さねぇか、返事の一つで。」
「次元は可愛く返事されてるから気にならねぇんだろうけどよ。」
「んなこと言ったら、こいつに名字呼びされるのは俺だけだぜ?」
一瞬沈黙が起こった。
五ヱ門とルパンが顔を見合わせる。
「…ちょっと私、頭冷やしてくるね…。」
隙をついてかもめが離脱した。
「次元ちゃん、名前で呼ばれたかったのけ?」
「いや、そう言う訳じゃないが…。」
「拙者、てっきり二人の時は名前で呼びあっているものだと。」
「何でそう思ったんだよ。」
五ヱ門とルパンが再び顔を見合わせた。
「寝言。」
「あ?」
「稀にかもめ殿は寝言を言うのだ。…言うというか、呼ぶというか。」
「そっか、次元が戻らない時だけだよな、かもめちゃんが寝言いうのって。」
「おいおい、二人で勝手に話進めんな…どういうことだ。」
***