新しい靴を履いて
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「ちょっと寄り道してもいい?」
珍しくかもめがわがままらしいことを言った。
「何か買いたいもんでもあるのか?」
「それが、靴を修理に出したくて…」
恥ずかしそうに磨り減った踵を見せた。この街に着くまでの道中、車がエンストしたりして、荒れた道を、結構な距離を歩いたのだった。
「こりゃ…新しいの誂えたほうがいいんじゃねぇか?」
「うーん、でも、足に合った靴がなかなか見つからなくて。これ、割と気に入ってるし。」
「この先にフルオーダーで靴が買えるいい店がある。買ってやるから、付いて来い。」
「いっ…いいよ!…靴買うお金くらいあるし…買ってもらうんなら、靴は嫌だよ。」
「何に意地はってんだ?今更。」
「次元たら、なんにも知らないのね。」
かもめはぷい、と小さく頰を膨らませた。
ドアベルがカロカロ…と小気味よく音をたてた。幾足も靴を頼んだことのある店だ。帽子を軽く上げて挨拶すると、これはこれは、と店主が出迎える。
「こいつの足に合う靴を頼む。…走ったり飛んだりしても怪我しないような。」
最後の方は、かもめに聞かれないような小声で伝えた。また子供扱いするな、と怒られてしまうからだ。
「かしこまりました。お嬢様、こちらへ。」
かもめは布張りの椅子に座らされ、素足をあれやこれやと図られている。
「お連れ様がいらっしゃるのは初めてで驚きましたよ、可愛らしいお嬢様ですね。娘さんですか?」
二人して顔を見合わせた。
親子?! いや、確かに年齢的にはそう言えなくもないが、親子とは!
そんなに自分は老け込んで見えたのか、と額に手を当てると、かもめは耐えきれなかったように吹き出した。笑いすぎて目の端に涙を貯めるように。
「おや、これは失敬。」
店主が困惑したように謝ると、かもめはいいのいいの、と窘めた。
「ごめんなさい、私の見た目が子供っぽいから、よく間違われるけど、仕事仲間なんです。」
そうなのですか、これは失敬。東洋の方はより一層お若く見えますね、と、取り繕うように続ける店主に、そうなの、私、見た目よりは大人なんですよ、とかもめは答えた。
ね?と片眉を上げるかもめに、頷いてやることができなかった。
仕事仲間ねぇ。間違いじゃ無いが。
名伏し難い、この関係は。何といえば?
***
珍しくかもめがわがままらしいことを言った。
「何か買いたいもんでもあるのか?」
「それが、靴を修理に出したくて…」
恥ずかしそうに磨り減った踵を見せた。この街に着くまでの道中、車がエンストしたりして、荒れた道を、結構な距離を歩いたのだった。
「こりゃ…新しいの誂えたほうがいいんじゃねぇか?」
「うーん、でも、足に合った靴がなかなか見つからなくて。これ、割と気に入ってるし。」
「この先にフルオーダーで靴が買えるいい店がある。買ってやるから、付いて来い。」
「いっ…いいよ!…靴買うお金くらいあるし…買ってもらうんなら、靴は嫌だよ。」
「何に意地はってんだ?今更。」
「次元たら、なんにも知らないのね。」
かもめはぷい、と小さく頰を膨らませた。
ドアベルがカロカロ…と小気味よく音をたてた。幾足も靴を頼んだことのある店だ。帽子を軽く上げて挨拶すると、これはこれは、と店主が出迎える。
「こいつの足に合う靴を頼む。…走ったり飛んだりしても怪我しないような。」
最後の方は、かもめに聞かれないような小声で伝えた。また子供扱いするな、と怒られてしまうからだ。
「かしこまりました。お嬢様、こちらへ。」
かもめは布張りの椅子に座らされ、素足をあれやこれやと図られている。
「お連れ様がいらっしゃるのは初めてで驚きましたよ、可愛らしいお嬢様ですね。娘さんですか?」
二人して顔を見合わせた。
親子?! いや、確かに年齢的にはそう言えなくもないが、親子とは!
そんなに自分は老け込んで見えたのか、と額に手を当てると、かもめは耐えきれなかったように吹き出した。笑いすぎて目の端に涙を貯めるように。
「おや、これは失敬。」
店主が困惑したように謝ると、かもめはいいのいいの、と窘めた。
「ごめんなさい、私の見た目が子供っぽいから、よく間違われるけど、仕事仲間なんです。」
そうなのですか、これは失敬。東洋の方はより一層お若く見えますね、と、取り繕うように続ける店主に、そうなの、私、見た目よりは大人なんですよ、とかもめは答えた。
ね?と片眉を上げるかもめに、頷いてやることができなかった。
仕事仲間ねぇ。間違いじゃ無いが。
名伏し難い、この関係は。何といえば?
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