星屑の砂糖菓子
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あいつには全部バレちまってんだろうな、とため息が出る。後でどんなからかい方されるかわかったもんじゃねえ。めんどくせえな。
「あっ…。」
突然嬉しそうにかもめが声をあげる。目があうと、無防備に微笑んだ。
「この味、多分次元好きだよ。」
かもめの指先には自分だったら絶対に食べない小さな洋菓子。なんだかよくわからないパフの上に、クリーム状の何か、そしてアーモンド。はい、と差し出された手ごと握り取って口に運ぶ。確かに悪くない味だ。さっぱりした甘さ、コクのあるエスプレッソの味わいに、芳醇なリキュールの香り。クリームの残った指を舐めあげると、かもめの手がかっと熱くなった。
「お前に言ったこと、なかったか?」
軽い体を抱き上げて、膝の上に乗せる。いつもなら子供扱いしないで、と文句を言われるところだが、洋菓子のアルコールにぼんやりさせられているのか、単に菓子に夢中になっているのか、かもめはやけにおとなしかった。
「何を?」
「愛してる。」
かもめが口に運びかけた菓子がぽろりと落ちた。さっきとは違う、桃色の小さな菓子。マカロンとか言ったか。膝の上に落ちたそれを拾い上げて齧ってみる。これは甘すぎる。好みじゃねぇ。
「…聞いてたの?」
「こいつぁ甘すぎるな。」
みるみる顔が赤くなって行く。目に涙が浮かんでいる。
「俺だって、お前ほどの女他に知らねえよ。」
頷くのがやっとらしく、かもめは菓子が詰まった缶を抱きしめたまま、ゆっくりと首を縦に動かした。
「でも、俺ぁお前が別の男と寝るのは耐えらんねぇな。」
缶の中から適当な菓子を選んで口に運ぶ。黄色い星型の小さなそれは、濃厚な蜂蜜の香りがした。
「あ、これお前の好きな味だな。」
「え!どれ?」
缶の中身を覗き込むかもめの顎を掴んで、直接口に運んでやる。
「…こんなふうに食べさせられたら、全部好きな味になっちゃうよ?」
好き者の顔しやがって。こんな顔、絶対他の男には見せらんねぇ。
「それと…俺はしつこい男だぞ。」
「…次元、だいぶ序盤から聞いてたのね。」
「なんでもかんでもルパンに話すなよ。後から面倒だ。」
「話さなくてもどうせバレちゃうじゃない。」
「さっきのアーモンドのやつ、もう無いのか?」
「あ…ちょうど今食べちゃった…。」
未だかつてない甘いキスを重ねて、夜は更けていった。
Fin