星屑の砂糖菓子
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「…ちょうど今、帰って来た。」
随分言い訳の下手くそな男を相棒にしてしまったなぁと笑ってしまった。今宵の酒に免じて今日は突っ込まないでいてやろう。全く似合わない菓子の包みにも笑いを噛み殺す。
あらあら、まあまあ、可愛いことで。
かもめちゃんは次元が買って来たお菓子を、まるで世界遺産級の宝石みたいに喜んだ。不二子に宝石をプレゼントしたって、こんなに喜んじゃくれないだろうな。
お菓子ごときでこんなにはしゃぐ子じゃないことは次元も知っている。
奴が気遣って慣れない可愛いもの、しかもかもめちゃんの好みのものを買って来たことを喜んでいるのだ。結局。
食べないで一生取っておく!とでも言いそうだったが、お互い明日どうなるかわからない身だからか、大事そうにお腹のところに缶を抱きしめて、世界最後の食事のように、ゆっくり咀嚼し始めた。
祝いの酒だって言うのに、相棒は一切手をつけずに、キラキラした小さな砂糖菓子をつまんでは、お菓子が入るのがやっとなくらい小さな口に運ぶのかもめを、珍しいものでも見るようにじっと眺めている。
人の気を知らないかもめちゃんは、その一粒一粒にお砂糖にも負けないくらいの甘い吐息を漏らしては、桃色の頬を緩めた。実際菓子には洋酒が少し入っているらしく、酒にあまり強くない彼女は既に目つきがとろんとしている。
「…次元はお酒、飲まないの? 何かつまむものでも作ろうか?」
「いや、俺は、呑んで来たから。」
勘弁してくれ!笑いを堪えるのがやっとだ!あっっきらかにシラフのくせに!
俺だって正直全然酔ってない。まだまだほろ酔い気分だが、この嘘つき上手な相棒のために、へべれけに酔っ払った芝居を打って、今を後にすることにした。グイッとウォッカを煽って、大げさに酒臭い息を吐く。
「あ~あ、すっかり酔っちまったな~。俺は先に眠るとするぜ~。」
バタバタと千鳥足に居間から抜け出て、扉を閉じた。
***