みみもと
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機材を変える時は実は必ずテストをしている。今日は無線機を新調するということで、アジトの居間に集合した。
「そんじゃ、テストするぞー。コホン。」
ルパンが大袈裟に居住まいを正した。
『…テス、テス、どうぞー。』
「俺は問題ない。」
「…!」
ビリビリと音割れする音声に思わず身を竦めた。隣の次元が訝しげに私を覗き込む。
「わ、私のはちょっと音、大きいみたい。」
つけたばかりの小型の無線機を外して、ルパンに手渡すと、何やらネジで調整してくれている。小声で隣の次元が揶揄う。
「なんだ?イヤホンでもダメなのか?」
「ぼっ…ボリューム大きかっただけだよ!」
「ん?何ナニ?なんの話?」
「こっちの話。」
次元はいつもみたいに歯を見せて笑う。全くもう。
「ほい!今度はどうかな?」
無線機を付け直してテストを再開する。問題なさそうだ。
「念のため出力テストな。かもめちゃん、一回アジトの外からコールしてみてくれる?」
「了解。」
言われた通りに外に出て、無線機の出力ボタンを押す。
「もしもーし、聞こえますか?」
『感度良好。』
答えるのは次元の声。新しい無線機はかなり音質が上がってる。すぐそばで話してるみたいだ。
「よかった。問題なさそうだね。…ルパンは?」
『さっきトイレに行った。…しかしコレ、音質が格段に上がったな。』
「本当だね。これならかなり小さな声で喋っても大丈夫そう。」
『ああ。環境音もほとんど入らない。』
「ね、これくらい小さな声でもちゃんと音入ってる?」
少しずつボリュームを落として、囁くように聞いてみる。
『ああ。』
「これでも?」
『…ああ。』
「このくらいでも、平気?」
『いや、ああ。』
「あ、さすがにここまで小さいと聞き取り辛いかな?」
『…そうじゃなくて、耳が擽ってぇよ。』
彼があの時のように体を縮こまらせていることを想像してくすくす笑ってしまう。アジトに戻りながら続ける。
「次元。」
『ん。』
「ちゃんと聞こえてる?」
『…ん。』
「ふふ…次元。次元。」
居間のドアを開けると、膝を抱えてソファの上で小さくなる愛しい人の姿があった。すると、後ろから直接ウンザリした声がした。
「あのさぁ、ごめんな、お二人さん。出力してないだけで、俺にも全部聞こえてんだワ。」
「「…あ」」
「あーあー!いーないーなァ!俺も無線でふーじこちゃんとイチャイチャしたいなああ!!!」
やけっぱちのルパンの背中を、二人で耳まで真っ赤にして見送った。
Fin
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