みみもと
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それはある仕事の最中のことだった。迫る追手に苦し紛れにドアを蹴破り入った小部屋。窓を開け放ってみたものの、飛び降りれる高さではない。
「次元、こっち!」
小さな相棒が誘導するのは、とても二人では入れそうにないロッカーの中。
「流石に無理だろ」
「行けるって!私体柔らかいから、ほら早く!」
無理矢理身体を押し込めると、隙間にかもめが滑り込んできた。この女は液体なのかと疑いたくなる。かもめは俺以上に奇妙な姿勢になりながら、器用に足で戸を閉めた。俺の鼻先はかもめの髪に埋もれてしまって、汗と、シャンプーだろうか、甘い匂いがする。視界は真っ暗だ。息を殺し、周囲の音に耳を澄ませる。
暫くして、僅かな足音さえ聞こえなくなった頃。
「…行ったか?」
声を掛けると、小さな相棒は体を大袈裟に振るわせて頭をロッカーの天井に激しくぶつけた。
「~~っ…!」
鈍い音に周囲の反応がないことを見ると、外へ出ても問題はないだろう。錆び付いた戸を開ければ、この珍妙な組体操の限界が訪れて、汚い床へ二人で倒れ込んだ。
よほどぶつけた頭が痛かったのか、かもめは涙目で頭を押さえたままだ。顔が真っ赤なのはロッカーが窮屈だったからだけでもないらしい。訝しむ視線に気付いて、かもめはしどろもどろに抗議する。
「だって…次元の息がずっと耳に掛かってたから…!」
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