はみがき
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
何が障ったのか分からないけど、急に次元が頬を気にし出して、ルパンに探りを入れたら、歯痛だって。いい大人なのに、彼は歯医者さんが苦手らしい。
惚れた弱みか、そんなところもかわいく思えるけど、痛みに耐える様子は、なんかもう見ている方がいたたまれなくて、背中を押すようにキスの禁止令を出した。そしたら間もない次の日の夕方、彼は頬を腫らして帰ってきたのだ。
「どしたの、そのほっぺ。」
「お前の望み通り医者に行ってきたんだよ。」
「…そんなに虫歯だらけだったの?」
「まさか。数日分に分けるところを無理に1日で頼んだからな。この有様だぜ。」
「なんでそんな無茶したの。」
「あんな所何度も行くのは御免だからよ。俺は寝る。」
半ば不貞腐れたようにそう言って、彼は自室に戻っていった。あんなに頬が腫れてちゃ、今日はご飯を食べるのも難しいだろう。流石に少し気の毒だ。
次の日の朝、なんとか噛まなくても大丈夫そうな朝食ーーヨーグルトに小さくしたキウイを散らしたのとか、バナナのスムージーとかを持って、彼の部屋の戸を叩いた。扉を開けると、至極不機嫌そうな彼が私を睨みつけた。頬の腫れはすっかり目立たなくなったけれど、痛みでよく寝付けなかったようだ。
「おはよ。少しは腫れ、引いたみたいね。」
「ああ。」
「お腹すいたでしょ、食べられそうなもの持ってきたよ。」
トレイをベッドの上に乗せると、相当お腹は空いてたみたいで、彼は無心に頬張った。端にちょこんと座る。
「いくら何でも全部1日でやっちゃうのは無茶だったんじゃない?」
「言ったろ、あんな所そう何度も行きたかねぇって。」
「でも、ご飯が食べられないんじゃ困るじゃない。」
「歯が痛いよりもお前のココがお預けされるほうが我慢ならねぇからな。」
不意に唇を指でなぞられて、頬が熱くなる。自分が嗾けたのに。
「…っつって、こんなザマじゃあ、格好つかねぇなぁ。」
ごっそさん、と彼はいつものように笑う。きっといくらも食べた気がしないだろう朝ごはんに、武士は食わねど高楊枝、そんな風情で。
***