お酒と、秘密と。
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
なんでこんな失敗をしちゃったのか。
その理由は、他ならない隣の男のせいなのだ。
ルパン一味と行動することはうんと増えたけれど、やっぱり私は物語に居るとしたら、サブキャラなんだと思う。
彼らとは別に仕事を持つことも、彼らと関わりない予定も、まぁ、ちょくちょくあって。今回もそんな感じで、別件の仕事を済ませた後のことだった。
ルパンにたまにはサシで呑まないか、と、慣れない土地の酒場に呼び出されたのだ。最初は良かった。私好みのお酒をバーテンに頼んでくれて、心地よく、軽く酔ってる、くらいで。
ルパンは一味の昔の話をしてくれた。次元がきっと自分では話してくれない一面が垣間見れて、私は興味津々だった。ついついお酒がすすんでしまって、ちょっと呑みすぎたな、とバーテンダーにお水を頼んだ。
「ここのお酒とても美味しいね、ルパンの行きつけ?」
「ああ、うまいだろ? 時々来るんだ。次元も気に入ってる。」
「そう、次元も。」
ほんの数日離れていただけなのに、会いたい気持ちが溢れてきた。
「そうそう、次元のとっておきの気に入りのボトルがあるぜ。ちょっと呑んでみるか?」
「勝手に呑んだら悪いよ。」
「気にすんなって、次元の好みを知りたくないのか?」
「…そんな言い方、卑怯だよ。」
ルパンにはなんだってバレてる。次元のことならなんだって知りたい。
まだ返事もしないうちに、バーボンのオンザロックが用意されてしまった。
「私、もうのめないったら。」
氷を指の先で転がすと、カロン、と唆られる音がした。
「その一杯を空けられたら、次元のとっておきの秘密も、教えちゃうんだけどな〜。」
「とっておきの、ひみつ?」
ごく、と生唾を飲んだ。いつもならここで気付いたはずなのだ。調子のいい泥棒の、お酒をすすませるための軽口だって。このおつまみのオリーブみたいに。でも、この時には私はもう、正常な判断を失ったただの酔っ払いだった。
***