「うーん…。」

ぐらぐらする頭を抱えて上体を起こすと、見慣れないベッドの上だった。

「よぉ、お目覚めか？」

隣にはヒゲの男が、というか、私の男が、頭の後ろで腕を組んで、着崩したワイシャツ姿でタバコを燻らせている。体に掛けられていた黒いタオルケットを撫でながら、ああ、ここは多分今の次元の仮住まいなんだな、と察する。なんというか、インテリアがそんな感じ。このアジトにはお邪魔したことなかった。

「昨日のことなんか覚えちゃいねぇって顏だな？」
「昨日…。」

思い出そうと眉間に皺を深くするけど、記憶は切れぎれにしか思い出せない。それよりも頭ががんがんする。
「私、確か…ルパンに呼び出されて…。」


＊＊＊