溶けるほどあつい冬
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私は何だかクルーザーの船尾に立つのが好きで、今日もそうした。波に残る白い足跡が、やがて消えていくのが好きなのだ。
「今日はお手柄だったな。」
頭の上には大きな手。左耳に愛おしい声が響く。隣に立つ暖かい胸元に甘えた。
「次元のプレゼント、助かっちゃった。」
「あぁ。こんな風に役に立つたぁな。」
「私が手袋欲しいって知ってたの?」
「さぁ、どうだかな。」
「…あ、いけない。」
もらったばかりの手袋に、木のささくれが刺さっているのを見つけた。お宝の入った木箱を拝借する時に付いたのだろう。慌てて手袋を外すと、左手に見慣れないものが付いていた。
「…指輪。」
呆気にとられて口をぽかんと開けたまま次元を見つめると、彼は分かりやすく帽子を下げた。
「次元、これ…」
「何のことか分からねぇな、サンタでも来たんじゃねぇの。」
素直に言えない気持ちはわかる。私たちはなにも約束出来る関係じゃない。だけど、だけど。
彼が贈ってくれたことがうれしくて、うれしくて。
思わずネクタイを強引に引っ張って唇を寄せた。たばこの味がする。何度重ねても冷めない、溶けるような熱いキス。
次元は硬らせた体をやがて緩めて、私の背中に手を添えた。
「…知らないじゃ済まさない。」
「分かってくれよ、柄にないことしてんだ。」
「私が赤い服きたサンタのおじさんのモノになってもいいの?」
「そいつぁ困るね。」
次元は困ったような優しい顔で、私の薬指にキスをくれた。
Fin