溶けるほどあつい冬
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朝目が覚めると、腕の中に抱いていた女は消えて、柔らかい甘い香りと、シックな紙箱が残されていた。疑りながら開けると、自分が前から目をつけていた時計が輝いていた。
全く、何て奴だ。昨日あんなに枕を大事そうに抱いて訪ねてきた訳がわかる。
朝の支度を整えて、キッチンに下りると、朝食当番のかもめがエプロン姿で出迎えた。
「おはよう。今日はワッフルだよ。次元は何をつける? 甘いのならマーマレードにメープルシロップ。しょっぱいのだと、バターにマスタード、ベーコンエッグもあるよ。」
「さてな。」
かもめの進行方向に腕をついて道を塞ぐ。腕に光る時計を見て、かもめは微笑んだ。
「…似合うね。」
「お前もキザなことするじゃねぇか。」
「何のこと? 知らない。サンタさんでも来たんじゃないの。」
かもめは鼻歌混じりに腕を潜って、居間へ抜けていった。
「五ヱ門、抹茶入りのワッフル焼いてみたの。あんことどうかな?」
とびきり機嫌が良さそうにワッフルを取り分ける背中に、一体どんな仕掛けをしてやれば喜ぶのか、頭を抱えながらテーブルに着いた。
ベーコンエッグを乗せたワッフルを齧る。甘さを控えたそれはカリッと歯触りが良く、中はもちもちとしている。
火にかけた薬缶が騒がしく音を立てると、かもめは着いたばかりの席を立ってキッチンへ急いだ。
「…かもめ殿、手袋を欲しがっていたぞ。」
箸を使って器用にワッフルを食べる五ヱ門が呟いた。思考でも読んだのかと居心地悪くなる。
「そりゃ…どうも。」
***