好きだよ、とても
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眠る前の微睡んだ時間、俺は晩酌を、かもめは本を片手に居間で過ごすのが習慣になっていた。間接照明の落ち着いた明かりに、ラジオからひび割れたクラシックが僅かに流れる。
「あら、仲が良いことで。」
寝間着のルパンが通りがかった。
「そう見えるか?」
本に集中して返事をしないかもめに代わって、軽口に答えてやる。
「いつもそうしてンじゃない。二人。」
「やってる事は別々だけどな。」
「だから…いや、いいや。何でもねぇ。」
ルパンが立ち去ると同時に、かもめは本をパタンと閉じた。隣で小さな腹の虫がきゅうと鳴る。恥ずかしそうに腹を押さえるかもめに、つまみにしていたナッツを差し出すと、かもめは素直に受け取って両手で食べた。まるで小動物に餌付けしている気分だ。また胸がぐっと詰まる。最近名前がついた、かわいいってやつだ。心地よく酔いが回っているので、素直に言葉が出る。
「なぁ、お前のアレ、どういう意味だよ。」
「あれって、どれ。」
「好き、ってやつ。」
「好きに意味なんてあるの?」
「酔っ払い相手に哲学じみた話はやめてくれ。」
「酔わないと好きの意味も聞けない癖に。」
今回はなぜかこいつの方が数枚上手だ。頭痛がしてくる。
「先に聞いたのは次元でしょ?…聞かれたから答えただけだよ。」
「俺は嘘かどうかが聞きたいんじゃねぇ。」
「じゃあ、何が聞きたいの。」
「だから…。」
言葉に迷って頭を掻く。困った俺に助け舟を出すように、かもめは続けた。
「すきだよ。ずっとすき。大好き。そこに意味はないよ、あるのは気持ちだけ。」
「…初耳だな。」
「聞かれなきゃ私だって言うつもりなかったよ。マジに告白なんてしたら、次元、逃げちゃうでしょ。次元に嘘つきたくなかったから、ちゃんと答えただけ。」
「逃げはしないが。」
「そうかな?」
いや、やはり逃げたのだろうか。
「別に約束や答えは要らないよ。次元が私のことすきじゃなくても…。」
「好きじゃないなんて、俺は一言も言ってない。」
***