好きだよ、とても
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「おかえ…あれ、どしたの? 真っ黒。」
相棒と仕事を終えてアジトに戻る。今日の相棒は仕事中に事故って廃油に顔から突っ込んだので、国籍を替えたのかと言いたくなるような肌の色だ。不機嫌な奴はシャワーを浴びに即効バスルームに消えた。
「…どうだった? 新作。」
「中々悪くないが、もう少し軽くならないか?」
「それがね、安全面考えるとこれ以上軽くできないんだよね。」
今回の仕事にはかもめの細工した弾丸を使った。感想や改善点について述べると、かもめはそれを素直にメモする。程なくして騒がしい相棒が、タンクトップに下着一枚でバスルームから飛び出てくる。
「だ〜〜っめだ全ッ然落ちゃしねぇ!」
「服着ろよ。仮にも女の前で。」
シャワーでさっきより少しはマシになったが、ダイレクトに黒いオイルにダイブした顔面は、落書きしたような間抜け面だ。
「そんなにゴシゴシ擦っちゃダメだよ。…おいでルパン、私のクレンジングオイルで少しは取れるかも。」
かもめは裸同然のルパンをソファに座らせて、首元にバスタオルを巻く。囁くように優しく、じっとしてね、だか、目を閉じてなきゃダメだよ、だか、忠告して、手当てをするように優しく、オイルを含ませた綿で顔を撫でて…何だか面白くない。
湯を汲みにバスルームに立ったところで、顔をオイルまみれにした相棒は目を閉じたままふざける。
「羨ましっだろ。」
「笑わせる。」
鼻で笑って答えた。手厚いかもめの洗顔で、大泥棒はもとの見慣れたサル顔に戻った。蒸しタオルで拭きあげて、ようやく仕上げだ。
「はい、おしまい。」
「んお、サンキュな。…ちゃんと元のイケメンに戻ったかな?俺。」
「ふふ、…うん、もとのかわいいルパンに戻ったよ。」
「ンフフ…お礼にキスしちゃおうかな!」
ルパンの軽口と過剰なスキンシップに、かもめはきゃっきゃと声を上げて笑って抵抗した。
「ゴシゴシしちゃったから、ちゃんと保湿しなね。…ついでだから私もお風呂もらうね。」
かもめは汚れた手を見せて、バスルームに消えた。ローテーブルに置きっ放しになっていた弾薬のメモの手帳をパラパラとめくりながら、感じ入るようにルパンが呟く。
「〜ったく、かっわいいよなぁ、かもめちゃん。」
「…かわいい?」
「かわいいだろうが。不二子ちゃんの色気とはまた違って、ちょっと抜けてて素直でヤサシくって…手慣れてないところがこうグッと…」
ゴタゴタと御託を並べる相棒の声を聞き流しつつ思う。そうか。あの懐かしいような、嬉しいような、悲しいような。あれをかわいいと言い換えれば、しっくりは来る。
かわいい、かわいい…ねぇ。
自分が浮かべるには似合わない感情だが、一旦名前がついてしまうと、そうとしか呼べなくなった。
***