20分
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柔らかな嵐が立ち去って、しばし呆然とした。あんなに恋しかった煙草の一箱が、今はもう手元にあるのに、吸う気が起こらない。
かもめの気に入りの飴を持っていたことを思い出して、ジャケットを探る。余程気に入ったのか、奴はどの店に入っても熱心にお菓子のコーナーを探す。残念だが、専門店でしか手に入らねぇんだよ、コイツは。
機嫌取りに使えるかと懐に隠していたが、こんなに早く使うことになろうとは。
少し眠たげに自室のベッドに横になった奴は、狙い通り飴の缶を見せると大人しくなった。
「はじめるぜ。」
タイマーをセットして、その小柄な体を横抱きに抱いた。大人を揶揄うとどうなるか、きっちり教えてやらなきゃならねぇ。
抱き上げられたかもめは、戸惑ったように瞳をぐるぐると動かした。緊張をほぐすように、その頭を優しく撫でてやる。本人に言えば強気に否定するだろうが、コイツはこれが好きだ。指で髪を梳くように、地肌に触れるか触れないか。女の頭を撫でるというよりは、子猫の頭を撫でるようなものだ。顔が緩んできた所を見計らって、胸元に手を伸ばすと、かもめは俺の手を掴んで唸った。
「無反応・無抵抗じゃなかったのか?」
「せ、せくはらっぽいよ。20分時間をあげるっていったけど、これじゃ私が飴玉で体売ったみたいじゃない。」
「お前はそんなに安かないだろ。」
「分かってるじゃん。私だって、次元のその、えと、局部にはさわってないし…。」
「分かった分かった。大事なトコにゃ触れねぇよ。ほら、無抵抗なんだろう。」
細い手首を片手で軽くまとめて甘く香る首筋に鼻先を寄せた。飴玉なんかにゃ比べ物にならない甘い体だ。そのまま組み伏せて、脇のあたりに頭を突っ込んでベッドに横になった。布団から、クセのない蜂蜜のような、かもめのにおいとしか言いようがない甘い香りがする。
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