20分
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かもめはキッチンからタイマーを持ち出して、テーブルに煙草を置いた。間抜けなカエルの顔を象ったそれをぴっぴと弄りながら言う。
「今から20分、完全無反応無抵抗ね。」
「おう。」
このイタズラ娘、今度は一体自分に何を仕掛けようと言うのだろう。興味深い反面、恐ろしくもある。だが煙草には替えがたい。
「よーい、はじめ。」
若干強張った体でソファに腰掛けていると、かもめはタイマーを置くと同時に、胸元に滑り込んできた。
「おい!」
思わず声を荒げると、人差し指を口に軽く押し付けられる。
「無抵抗・無反応が約束だよ?…タバコ、欲しくないの?」
口を噤むと、かもめはそのまま柔らかい体で力いっぱいに抱きついて来た。胸板に胸がぴたりとついて形を変える。悪寒とは違う鳥肌が一気に立った。自分の髭が伸びかけた頬に、マシマロの様な柔らかい頬がすりすりと擦り付けられる。肩口にも同じように額をすり寄せて、やがて片腕にしがみつくように体を寄せた。柔らかい体が余すことなく触れて、腹の底から温かい泡が立つような感覚が湧く。
体をぺたぺたともどかしい柔らかさが這い回り、やがて俺の膝の上で膝を抱えてまるくなった。丁寧にぬいぐるみでも抱くように俺の片腕を柔らかい体に挟んで。
イタズラにはタチが悪すぎる。理性の軋む音が聞こえそうなくらいだった。時折目が合うと、いたずらっぽく目を楕円にして笑う。俺にはこいつがわからない。
足に足を絡めて擦り付けられて、本当にもう煙草の一箱がどうでも良くなった瞬間。
『ピピピピピピピピ…』
呆気なくかもめは体を離して、タイマーを止めた。
「はい。」
先程までしつこく擦り寄っていたとは思えない淡白さで、俺の手に煙草を握らせて、女は自室へ戻っていった。
***