暖炉のまわりで
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「うう〜…さむっ…」
かじかんだ指先を擦り合わせて、白い息を吐いた。
次元ほどではないにしても、私も急なルパンのヘルプに召喚されることはままある。まあRPGでいうところのお助けキャラってところだろうか。前線に立つことはあまりないにしても、調べ物や仕掛けの仕込みは正直引けを取らない。
レギュラーとは言えないけど、たまにトリッキーな立ち回りに出現する傍役、みたいな感じ。
今日もそんなこんなで急な呼び出しに慌てて応じたので、ろくに支度をしてこなかったが、大失敗だった。寒冷地でもないのだし、とタカを括って着の身着のまま来たのだが、この地域は予想より遥かに寒い。昼間はそれほどでもなかったので、仕事はなんとかこなしたけれど、夜の冷え込みは凶器的だ。夜道を震える肩を擦りながらアジトに向かった。
寝静まったアジトをそっと開くと、暖炉の前で寛いだ大泥棒がニヤッと笑った。社長が座ってそうなでっかい椅子に、真っ赤なバスローブ。相変わらずの出立だ。
「や、来たよ。」
「おう、おかえり。首尾はどうだ?」
「滞りな…っくしゅん…!」
「お大事に。」
大泥棒にティッシュを差し出されるなんて、なんてシュールな絵だろう。
「…ルパンったら、急に呼び出すんだもん。何か着るもの持ってくれば良かったよ。」
「ありがとな、お詫びに部屋暖めといたからよ。休んでくれ。」
「シャワールームは?」
「あっちだが、水道管が凍っちまって夜半は使えねぇ。」
「おう…ジーザス…」
「勘弁してくれ、昼間なら使えるよ。」
さすがに申し訳なさそうなルパンに、タオルケットをいく枚かもらった。
なんでもいいからはやく布団に包まって凍える体を温めたい。案内された部屋を開けると、胸をくすぐるような、たばこのにおいがした。
***