秋の祭に
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「うにゃ…にゃにゃにゃあ、にゃあ、にゃあにゃうみゃう。」
「原液を摂取した訳じゃないから、時間が経てばみんな元に戻ると思う、って言ったのか?」
「にゃおん。」
自分でも不思議だが、かもめが言おうとしていることはなんとなく分かった。他の2人の豹変っぷりよりは理性的とはいえ、かもめも魔女の暗示には逆らえなかったらしい。小さな科学者は現状の見解が俺に伝わったので安心したのか、昼間取りあったハンモックに、子猫のような身のこなしで丸くなった。
面白くなって、壁に飾っていたドライフラワーのスワッグからエノコログサを抜き取る。
「ほら、かもめ。」
目の前で揺らすと、かもめは目の色を変えて飛びついた。数回のフェイントをかけて戯れさせると、かもめは我に返って怒った。
「にゃにゃにゃあにゃあにゃ!」
「からかわないでって言ってんのか?今のは。」
だがこんな面白いおもちゃ、遊ばずにはいられないだろう。指先で顎の下あたりをくすぐると、かもめはとろりと溶けて甘えた。時折理性が引き戻すのか、鳴き声混じりに抗議するのがたまらない。
「ふみゃ…にゃっ…っ」
「んー? …素直になれよ、気持ちいいだろう。」
丁寧に喉までゴロゴロと鳴っている。ハンモックの上に寝転ぶと、その子猫は腹の上に乗って、恥ずかしそうに続きを促した。猫の喜ぶ所を順番に優しく撫でる。耳の裏、背中、尻尾の付け根。胸元がもぞつくと思えば、いわゆるミルクトレッドというのか、手の先を丸くしてもぞもぞやっている。顔はふにゃふにゃに蕩けて、目には涙がいっぱいに溜まって。いつもは恥ずかしがって暗闇に隠れた表情が、今日は明かりの下ではっきりと見える。
身体中をくまなく撫であげて、更に反応が良かったところを深く探る。耳の後ろを小刻みに擦ると、かもめは小さく悲鳴をあげた。
「ここか?」
「んゃ…くすぐった…んんっ…」
反応にあることに気付くが、そのまま続ける。へその辺りも同じように指先でくすぐる。
「別によ、いつだってお前が素直に甘えりゃ、これくらいしてやれるぜ。」
「…んぁっ…なに…それ…どういう…。」
「お前、声戻ってんぞ。」
かもめはみるみる顔を赤くして、声にならない声を上げた。
***
「っはぁ〜〜…ったくよ、骨折り損のくたびれ儲けたぁこのことだぜ。」
ルパンが酔い潰れた2人の泥棒を抱えてアジトに戻ってきた。
「んぁ?かもめちゃんは?」
「先に眠ってるぜ。」
「嘘ぉ、ネコミミ姿のかもめちゃんの写真、撮っときたかったのに…っておい次元、どうしたその横っ面。」
「ちょっと子猫に引っ掻かれてな。からかい過ぎたらしい。」
いつもなら腹に据えかねることの顛末だが、今日の報酬を思えば悪くない。
意味が測りかねてぽかんと口を開ける相棒を尻目に、頬にヒリヒリと痛い引っ掻き傷を撫でて、1人夜風に吹かれて笑った。
Fin