秋の祭に
夢小説設定
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アジトに戻って古い型式のテレビを付けると、画面越しに見慣れた顔が牙を見せて笑った。
『速報です。魔女の血涙が盗まれましたーーー。』
派手好きな私達の大将は無事に仕事を済ませたらしい。
「一安心?」
「どうだかな。今回不二子が噛んで無いのが逆に怪しいぜ。」
「それは言えてる。」
次元は早々と着ぐるみの頭を脱ぎ捨てて、ハンモックに腰掛けてファスナーに手をかけた。
「あ、ちょっと待って。写真撮りたい。」
「あ?」
「折角だもん、いいでしょう?」
笑いながら携帯を構えると、普段なら嫌がる彼は、きぐるみは顔が隠れているから構わないのか、放ったオオカミの頭をすぽっと被って大人しくなった。飽きるまでシャッターを切って、彼の隣に座り、写真を選別する。オオカミの頭の下から彼が覗き込んだ。
「満足したか?」
「おかげさまで。」
「じゃ、今度は俺の番だな。」
彼はいつものいたずらっ子のような顔で、端末を片手に歯を見せた。血の気が引いて冷や汗が出る。大人しく撮られていると思ったら、そういうことだったのか。
「だ…だめだよ!流石にこの格好は…。」
「じゃあお前が撮ったのも消せよ。」
「それは駄目!次元は顔が見えてないから違うじゃない…」
しばらくわたわたと言い訳をしていると、彼は面白そうに一頻り笑って、ハンモックに寝そべった。
「冗談だよ、お前がそんなに嫌ならいい。」
本気で慌てたのに、ほんの揶揄いだったのだと分かって思わずほっぺが膨れる。やっぱり大人だな、叶わないや。
ちょっと悔しくて、次元の手から携帯を抜き取った。インカメラで何枚か撮ってみて、一番マシに見えるものだけを残す。
呆然とする彼に、端末を返しながら、再び言い訳する。…彼といると言い訳が増える。
「…可愛く撮れてるのじゃなきゃ…ヤだから。」
「お前…本当に可愛いね。」
きぐるみのままのもふもふの手が、やさしく私の頭を撫でた。
***