秋の祭に
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「ひでぇ人混みだな…かもめ、どっかに掴まってろ。」
そう告げると、俺の小さな相棒は、すがるように俺の尻尾にぎゅっと抱きついた。普段から無意識な言動があざといこいつは、今日は一層酷い。根城に眠っていた仮装は、きっと子供用だったのだろう。スカートの丈は小柄なかもめにすら短過ぎて、何度も裾を引っ張って気にしている。
慣れない衣装に恥じらって、苦手な人混みに大人しくなって。
俺とかもめは今回は裏方だ。俺がかもめを補助し、かもめは建物に爆弾を仕掛ける。満を辞して女好きの吸血鬼が登場、タイミングを待って仕掛けが発動し、獲物を拝借。あとはずらかるだけ。ルパンの帰りは五ヱ門が先導する手引きになっている。
恥じらいのネコミミ娘も、いざ仕事を始めれば、顔付きはいつもの泥棒一味だ。物陰でさっと黒い革手袋をはめて、壁にワイヤーを投げた。軽い身のこなしで外壁に手早く爆弾を仕掛けていく。周囲に注意は払いながらも、その仕事っぷりは本当に猫の様で、思わず見惚れる。
「終わったよ。」
すた、と隣に着地しながら、かもめは手袋を外した。
「いつもながらあざやかな手捌きだな、子猫ちゃん。」
「そりゃどういたしまして、オオカミさん。」
今回が厄介なのは標的の付近で車が使えないことだ。この祭りに浮かれた化物たちのために、道路は規制されて歩行者天国になっている。いざとなれば警備のパトカーを拝借するのがいつもの手だが、緊急でもない限り目立つ行動は避けたい。
「行くぞ。」
声を掛けると、かもめは無言で尻尾にしがみ付いた。全く。
小さな子猫の頭を軽く撫でて、帰路を忍び歩いた。
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