おかえり
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「…いつまでいるの。」
「お前が眠るまで。」
頭を優しく撫でる大きな手が、愛おしくて切ない。体がこんなじゃなかったら、すぐにでも体を寄せたいくらいなのに。寂しくなってその手に頭を擦り付けた。
「何だよ。」
「起きた時隣に居なかったら寂しいなって。」
「ずっと居てやりたいが、そうもいかねぇ。」
仕事?と聞くと、優しい目つきのまま頷いた。誰も知らないんだろうな、ガンマンの、獲物を狙う帽子の下の冷たい眼光が、こんなに蕩けた優しい眼差しになるところなんて。
彼の腕っぷしは信頼してるけど、やっぱり危険な仕事には変わりないから、いつも不安だし、心配だ。
そんな湿っぽい気持ちの代わりに、囁いた。
「ねぇ、次元。」
「うん?」
「好きだよ、だいすき。」
「何だ急に。」
「急でもなんでもないよ。ずっとだもの。すき。だいすき。」
「そうかい。」
彼は絶えることなく、ゆっくりと私の頭を撫でてくれた。この時間が永久に続けばいいのに。もう本当に眠りに落ちそうで、心地よくぐらつく頭で、回らない呂律で告げた。
「じげん、」
「ん?」
「はやく…帰ってきてね。」
「帰るも何も、ここはお前さんの家じゃねぇか。」
「ちがうの、家じゃなくて。」
もう瞳を開けておくことができなかった。眠りにつく最後に見るものが、彼の優しい顔なんて、なんて幸せなんだろう。風邪ひいてよかったな、なんて、罰当たりかな。
「…私のところに。」
夢と現の狭間で、彼が玄関の扉を静かに閉ざす音を聞いた。
地面をしっかりと踏み締める彼の足音は、確信をもたらした。彼は絶対に私のところへ生きて帰ってきてくれる。何があっても。
私は安心して、幸せな眠りについた。
fin