手のひらのウサギ2
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
廊下で次元とすれ違う。随分慌てた様子で浴室に消えていった。入れ違いに居間に入ると、湯上りの小さな仲間が嬉しそうに出迎えた。少し照れる。
「五ヱ門、ちょうどよかった。」
座って座って、と、ソファへ引っ張られて、言われるがままに腰を下ろす。向かいのソファでは面白そうに腕を頭の後ろで組んで、ルパンが寛いで座っている。
「何用か。」
「大した用事じゃないんだけど、ルパンが教えてくれた手品、人に試したくて。ちょっとだけ手を貸してくれる?」
かもめ殿はソファに小さく正座した。併せて正座をして、体を向けると、ソファに向かい合って座る、奇妙な風体になった。
「ここに1羽の、うさちゃんがいます。触って仕掛けが無いことを調べてください。」
かもめ殿は小さなスポンジでできたウサギを手渡した。言われるがままにふにふにと指先で調べる。
「特に変わった所はないようだが…。」
「実は私もうさちゃんを持っててね、このうさちゃんたち、実は、恋人同士なのです。」
「恋…!」
思いがけない単語に軽く動揺すると、ルパンが片手で顔を覆って喉の奥で笑った。
「恋人同士なので、1羽にするとさみしいよ〜って、勝手に飛んで行っちゃうのです。」
かもめ殿は、自分の手を重ねて、某の手にウサギを握らせる。柔らかくて細い指に触れられて、正直慌てる。かもめ殿は、自分の片方の手にもウサギを握り、空いた片手でぽんぽん、と叩いて開いた。手の中にいたはずのウサギはもういない。
「さぁ、手を開いてみて。」
某の手のひらには2羽のウサギ。感心して、思わず軽く息をついた。
「さて、このウサギたちは、とってもらぶらぶなので、一緒にいると大変なことがおこります。」
「ら…らぶらぶ…。」
恐らくこの珍奇な口上はルパンが吹き込んだのだろう。かもめ殿は某の動揺など御構い無しに、自分の手を添えて、2匹のウサギを握らせる。幼子のお遊戯のように、一緒に手をゆらゆらと揺らした。
「ほら。」
手を開くと、中には沢山のウサギ。こぼれ落ちて、かもめ殿の膝頭にぶつかった。
「ほら、子だくさん。ねぇ、びっくりした?」
湯上りの上気した顔で、ゆるいシャツの襟首から肩を覗かせて小首を傾げられると、正直もう手品どころではない。
「…かもめ殿は、奇術師だな。」
「ふふ。そんなに驚いてもらえると練習した甲斐があるよ。」
自分の顔が緩んでいるのを感じて、軽く咳払いをした。
「だが、その手品、相手を選ばなければ危険だ。」
「危険って、どうして?」
うまく説明ができずに、かもめ殿の頭を軽く撫でた。ルパンが独り言のように言う。
「次元の苦労が偲ばれるぜ。」
***
「五ヱ門、ちょうどよかった。」
座って座って、と、ソファへ引っ張られて、言われるがままに腰を下ろす。向かいのソファでは面白そうに腕を頭の後ろで組んで、ルパンが寛いで座っている。
「何用か。」
「大した用事じゃないんだけど、ルパンが教えてくれた手品、人に試したくて。ちょっとだけ手を貸してくれる?」
かもめ殿はソファに小さく正座した。併せて正座をして、体を向けると、ソファに向かい合って座る、奇妙な風体になった。
「ここに1羽の、うさちゃんがいます。触って仕掛けが無いことを調べてください。」
かもめ殿は小さなスポンジでできたウサギを手渡した。言われるがままにふにふにと指先で調べる。
「特に変わった所はないようだが…。」
「実は私もうさちゃんを持っててね、このうさちゃんたち、実は、恋人同士なのです。」
「恋…!」
思いがけない単語に軽く動揺すると、ルパンが片手で顔を覆って喉の奥で笑った。
「恋人同士なので、1羽にするとさみしいよ〜って、勝手に飛んで行っちゃうのです。」
かもめ殿は、自分の手を重ねて、某の手にウサギを握らせる。柔らかくて細い指に触れられて、正直慌てる。かもめ殿は、自分の片方の手にもウサギを握り、空いた片手でぽんぽん、と叩いて開いた。手の中にいたはずのウサギはもういない。
「さぁ、手を開いてみて。」
某の手のひらには2羽のウサギ。感心して、思わず軽く息をついた。
「さて、このウサギたちは、とってもらぶらぶなので、一緒にいると大変なことがおこります。」
「ら…らぶらぶ…。」
恐らくこの珍奇な口上はルパンが吹き込んだのだろう。かもめ殿は某の動揺など御構い無しに、自分の手を添えて、2匹のウサギを握らせる。幼子のお遊戯のように、一緒に手をゆらゆらと揺らした。
「ほら。」
手を開くと、中には沢山のウサギ。こぼれ落ちて、かもめ殿の膝頭にぶつかった。
「ほら、子だくさん。ねぇ、びっくりした?」
湯上りの上気した顔で、ゆるいシャツの襟首から肩を覗かせて小首を傾げられると、正直もう手品どころではない。
「…かもめ殿は、奇術師だな。」
「ふふ。そんなに驚いてもらえると練習した甲斐があるよ。」
自分の顔が緩んでいるのを感じて、軽く咳払いをした。
「だが、その手品、相手を選ばなければ危険だ。」
「危険って、どうして?」
うまく説明ができずに、かもめ殿の頭を軽く撫でた。ルパンが独り言のように言う。
「次元の苦労が偲ばれるぜ。」
***