続きは満月の夜に
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ずっとずっと待ち望んでいた唇が触れ合った瞬間、弾けるような甘い痺れが身体中をめぐる。まるでそこだけ自分と相手の境目が消えて無くなったように。意識が飛んでいきそうで、震える手を背中に回してしがみつくと、強い腕が私を背中から支えた。静かな重なりは少しずつ熱を持って、知らないキスをされる。頭がクラクラした。そのうちどちらからとなく姿勢が崩れ、許されたばかりの触れ合いに、たどたどしく肌を重ねた。もっともっと触れて欲しくて、少しも肌が離れるのが切なくて、大きな手を何度も体に導いた。
「ついこの間まで子供みたいだった癖に。」
「誰に似合うために背伸びしたと思ってるの。」
ゴツゴツとした男らしい手が体に触れる度、そこが火傷したように熱くなる。やわやわと彼を下敷きに組み伏せたところで、今一番聞きたくない音が聞こえた。
「…フィアット。」
「おいおい、なんつータイミングで…。」
そして悪い子の私は、またあることを思いついた。名残惜しさに引きちぎれそうだけど、頑張って体を離した。
「…今のうちに部屋に戻らないと、ルパン達戻って来ちゃうよ?」
「おい、ここで我慢するなんて生殺しもいいところだろ?」
「私、今回の件では随分我慢したからね。今度は次元が我慢する番。」
「正気か? 冗談きついぜ。」
「ほら、早く行ってよ。ルパン達にどやされたいの?」
次元は全く納得のいかない様子で、しぶしぶベットから立ち上がった。半ば押し出すように部屋の外へ押す。
「計画通りなら明日の夜がまた二人きりでしょう。」
「そうは言ってもよ…。」
何か言いかけた彼のヒゲを軽く引いて、無理矢理にキスをした。気付いてないフリ、なんて意地悪した仕返しだ。
「大好きだよ、おやすみ次元。」
「悪い女。眠れるかってんだ。」
ドアをパタリと閉じた。眠れないのは私も同じだ。意地悪な企みもあったけれど、正直なところ、待ち望んだ触れ合いが心地よすぎて、自分が壊れそうでこわかったのだ。
ドアを背に、ドキドキと脈打つ心臓の落ち着くのを待っていると、窓から大きな月がのぞいていることに気づいた。さしずめ今日は14番目の月。満月の夜の狼が今から怖い。
***