続きは満月の夜に
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次元がバスルームの扉を閉じる音が聞こえて、ため息が出た。
そんなに露出度が高いだろうか?このシャツは。普段は何も言わない癖に、こういう時は口出しするのだ。体が少し冷えてきたが、なんだかむかついて、上着を着る気になれなかった。
一通り髪を乾かしたり、顔の保湿を済ませた後で、マッサージがてらボディークリームを体に伸ばしていく。最近は体のケアに気を使うようになった。彼は気がついているのだろうか。
この一味に入ってから、次元はとても良くしてくれた。多分元から兄貴肌というか、面倒見がいいタイプなんだろう。一味に入りたての頃は、元々少食で、食の進まない私に、もっと食べろとよく勧めてきた。実際に彼の勧めた分をちょっと頑張って食べると、不思議に満足そうにしてくれるから、それがなんだか嬉しくて、痩せっぽちだった私の体は、すっかり健康的になった。思えばその時から、彼に私の体は少しずつ作り変えられていたのかもしれない。
今こうして体を念入りにきれいにしているのだって、彼に触って欲しいから。それだけの理由だった。
好きになるには時間も理由も要らなかった。強いて理由を述べよと言われれば、日が昇ってから暮れるまでずっと話せそうなくらいで、要するに恥ずかしいくらいのべた惚れだ。
迷惑だと思われたくなくて、何となく気持ちは誤魔化していたけれど、触れて欲しい気持ちだけは抑えきれずに、気がつけばこうして体を準備してしまっていた。
まぁ、どれだけ準備をしたところで、しかめ面のガンマンは指一本触れてはくれないのだけど。土台私の変化に気付いているかすら怪しい。
少しで構わない、触れて欲しい。
切なさを紛らわせようと足に何度も何度もクリームを滑らせていると、ある考えが頭に浮かんだ。
きっとまた怒るのだろうな。
でも、どのみちこのまま待っていたって、彼が触れてくれることはないのだ。
***