完璧な夜
夢小説設定
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翌日は待機所に出向く用事があった。
陽が高くなった頃、のんびりと家を出る。
アカデミーに近づけば、入り口の前に一人佇んでいる人影が見えた。
数メートル離れた距離で、こちらに気付き駆け寄ってくる。
昨日会った女性だった。
「カカシさん、昨日はありがとうございました」
そう言って封筒を差し出す。
手元と彼女を交互に見た。
「いやいや、受け取れませんよ」
「大した物じゃないんです。ささやかな物なので…!」
「ちなみに…」
先を促せば、定食屋の食事券だと言う。
オレも度々足を運ぶ馴染みの店だ。
「ね?本当に大したものじゃないでしょ…」
顔色を窺うように聞く。
「いや…本音を言えば嬉しいですよ。お心遣いいただいてすみません」
「受け取っていただけます?」
「有り難く」
「よかった…」
胸を撫で下ろして笑う。
「ずっと待っていてくれたんですか?」
ポケットに封筒を差し込みながら聞く。
「今日は特に予定もなかったので…」
暇だったんです、と彼女は笑った。
「なんだかすみません」
「いえ、お会いできて良かったです」
のんびりと穏やかに進む会話が心地よかった。
「良ければお名前を伺っても?」
名字と共に教えてくれた名は“⚫︎⚫︎”と言った。
「⚫︎⚫︎さんですか」
「はい」
(綺麗な名前ですね、と言えば引かれるだろうか…)
他の女性には素直に述べる言葉が、なぜか彼女には躊躇われた。
「それでは失礼します」
⚫︎⚫︎さんが会釈をする。
「はい、また」
自然と出た言葉に自分で驚く。
顔を上げた⚫︎⚫︎さんも一瞬驚いた表情をしたが、すぐに微笑みながら言う。
「光栄です、また」
踵を返して去って行く後ろ姿を見送った。
