新境地
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翌日ゲンマと合流すれば、頭は任務に切り替わる。
「ゲンマ、今日で最終日だね」
「そうっすね」
「十分情報も聞き出せたし、今日はキレイに終わらせよ」
「ええ」
ほぼ毎日のようにここに通っていた。
昼夜問わず大規模な宴会が催されていた屋敷も、明日からは暫く立ち入りが禁止されるらしい。
主の休肝日だと噂で聞いた。
この会場は情報を引き出したり、偽りの情報を流すのには大いに助かった。
任務が無事に終えられそうな事に安堵する。
見知った客たちと別れを惜しむようにグラスを交わす。
「いつか貴方たちの国にも行ってみたいわ」
前に座る年配の女性が上品に話す。
「是非、その時にはご案内致しますね」
「楽しみだわ。その頃は二人じゃなくて三人になっているかも…」
⚫︎⚫︎のお腹に視線を送る。
「ハハッ。現実になるように頑張ります」
ゲンマがそっと⚫︎⚫︎の肩を引き寄せた。
合わせて私も微笑む。
任務中は恋人ごっこを演じた。
それも今日でお終いだ。
普段は自由な解散だが、最終日の今日だけは主を讃えてからの解散となった。
(いつもより遅くなっちゃった……)
早く帰って報告に行かなければと、帰路は足早になる。
「⚫︎⚫︎さん、お疲れ様でした」
屋敷から大分離れると、ゲンマが頭を下げて言う。
「こちらこそ。色々フォローありがとね、ゲンマ」
「役に立ててましたか?オレ」
「もちろん、自慢の彼氏だったよ」
良かったです、と照れてはにかむゲンマが続ける。
「⚫︎⚫︎さんも素敵な彼女でした」
いつからお世辞が上手になったのか。
ゲンマの事は幼少期から知っているので、その変化に驚きと嬉しさが入り混じる。
「フフッありがとう。今までパートナーに興味なかったけど、褒めてもらうのも嬉しいものね」
「⚫︎⚫︎さんの事は皆んながキレイって言うじゃないですか」
「他人の社交辞令とは違うでしょ?」
「いや、奴ら本気で…「さてと、今日も私が報告に行くからこのまま帰っていいよ」
「いや、今日くらいオレが行きますよ」
「大丈夫だよ」
「それくらいさせてもらわなきゃバチが当たります」
「そんなことないんだけど……うーん…じゃあ一緒に行く?」
「ハイッ」
並んで歩きながら、任務の反省や思い出を振り返っていた。
ふと腹部に違和感を覚える。
(困ったな、さっき行ったのに……)
昨日と同じ失態は犯さぬように、屋敷で排泄を済ませてきた。
夜風に晒されて冷えたのだろうか、また手洗に行きたい衝動に駆られる。
「あのさ…やっぱり私だけで行くよ」
「え?もうちょっとじゃないですか…行きますよ」
「いや、ちょっとこの後の用事を思い出して急ぎたくて…」
正直に手洗いに行きたいと言うのが恥ずかしくて、口から出まかせを言う。
「なんだ、そうだったんですね。じゃあ一緒にオレも急ぎますよ」
「え、うん…」
「さぁ行きましょう」
二人で駆け出した。
最短の道のりで待機所を目指す。
情けないが下腹部に集中しなければ我慢がきかない。
「⚫︎⚫︎さん、そこ!」
「え……?」
普段なら余裕で避けられたはずだった。
意識を腹部に優先していたせいでゲンマが指す木の根を避けられない。
「わっ……!」
バランスを崩したその瞬間だった。
下腹部へ向けていた意識が緩む。
(あ………)
座り込んだ地面にゆっくりと染みを作っていく。
一度我慢を忘れた身体が麻痺している事を思い知らされた。
