名前のない季節
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その日は暑くも寒くもない一日だった。
久しぶりに森へ山菜を採りに出掛けることにした。
今年は山の幸が豊富なようだ。
出だしから好調な収穫っぷりに⚫︎⚫︎のテンションも上がる。
一つ後悔することがあるのだとしたら、後ろで文句を言う弟たちを置いてこなかった事だろう。
「ねーちゃん。もう疲れたよー」
「オレもー」
山道を蛇行しながら進む⚫︎⚫︎の後ろで、情けない声を出す。
「しっかりしなさいよ…」
振り向きながらため息をついた。
「重たいよー」
「先に帰らしてー」
三人が背負っているカゴはほぼ埋まっていた。
「もうヤダよー」
「ねーちゃーん…」
根性のない二人は山道に来るといつもこうだ。
去年より体力もついているだろうし、今年こそはと期待した私もいけなかった。
痺れを切らせて言う。
「あぁもう…先に帰っていいよ」
その言葉に二人は顔を見合わせる。
「「はーい!」」
今までの覇気のなさはどこへやら、すぐに立ち上がると足取り軽く下山して行った。
「……」
あっという間に見えなくなる背中を見ながら、再び長いため息をついた。
背中のカゴにはまだ若干の余裕がある。
せっかく来たのだし満杯にしてから帰ろうと、森の奥へと歩を進めた。
川沿いを歩いていると去年の事を思い出す。
(そうだ、この辺りに…)
周囲を見回しながら進めば見えてきた。
小さな湖だ。
太陽を遮る木々はなく、水面が光を反射してキラキラと輝いている。
背負っていたカゴを置く。
(少しだけ…いいよね)
周囲に人がいない事を確認すると、衣服を脱いでそっと隣に置いた。
静かに飛び込む。
僅かに水しぶきが上がった。
(気持ち良い…)
水面に浮かびながら瞳を閉じる。
⚫︎⚫︎は雪女の半妖だった。
人間なら冷たく感じる温度も心地良い。
「驚いたな、うん」
「……!」
意表を突かれて声を失う。
急いで声の主を探せば、少し離れた木の上に腰掛けてこちらを見ている者がいた。
金髪の束ねられた髪が重たそうに揺れている。
「気にせず続けていいからな」
「いつから…!」
慌てて岸に上がる。
(痛っ…)
岩で足を切ったようだ。
そんな事に構う余裕もなく、急いで衣服を掴もうと手を伸ばす。
「あぁ、なんで着るんだよ」
男はその手を遮るように立ちはだかった。
「なんでって…」
この男は何を言っているのだろう。
行き場を失いしゃがみ込む。
情けない格好をしているのは嫌でも分かった。
「オレは見たいだけだ」
「私は見せたくない…!」
睨みつけるが効果はないようだった。
「こんなにキレイな肌、中々見られないからな」
⚫︎⚫︎の言う事は無視して、身体を隠していた両手を掴み上げる。
その場に軽々と立たされた。
「やだっ…!」
「…透き通りそうなくらい白いな」
「離して!」
「へぇ…恥じらえば肌が薄紅色になるのか」
しげしげと顎に手を置き眺める。
「芸術を感じるな」
デイダラと名乗った男は楽しそうに笑った。
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