思い出補正
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「ヤダッ…帰るっ…」
暗がりの中、カカシの部屋で抵抗する。
腕からすり抜けようとするが、足音が虚しく鳴るだけだった。
力で敵わない事は知っていた。
「⚫︎⚫︎、話してよ」
「ヤダ……」
「他言はしない」
「……」
「⚫︎⚫︎にとって大切なのは知ってるからさ」
数十センチ上から優しく声が降ってくる。
別れ際のイタチの顔がチラつき、思わず涙腺が緩んだ。
「っ……」
「大丈夫、ゆっくり聞くよ」
自分の幼少期のことなんて誰にも話した事がなかった。
話す必要もなかった。
ゆっくりと紡ぐ言葉を、カカシは肯定も否定もせずに聞いていた。
どのくらい時間が経ったのだろう。
話終わればタイミングが良いのか悪いのか⚫︎⚫︎のお腹が鳴った。
カカシは笑って言う。
「何か作るよ、待ってて」
部屋の明かりが付く。
静かに椅子に掛けて待っていた。
カカシがキッチンへ向かい暫くすると、お盆に乗せられたおむすびと味噌汁、漬物が運ばれてくる。
「お母さんみたい…」
「ハハッ、お嫁にどう?」
「いいお嫁さんになるかもね」
カカシの冗談に微笑しながら返す。
「「いただきます」」
「…美味しい」
夜は更けていた。
軽めの食事が有難い。
「そう、良かった」
口布を下げたカカシが微笑んだ。
「…久しぶりに見たかも」
「ん?」
「カカシの素顔」
「あぁ…前は⚫︎⚫︎の家でだったね」
「……」
カカシとは一度だけ寝た事がある。
お互いかなり酔っていて、その日の記憶は曖昧だ。
大人になってからの情事ということもあり、あの日の話題に触れたことはなかった。
「⚫︎⚫︎かなり酔ってたよね」
「…うん、何も覚えてない」
「そうだと思った」
オレもだよ、と返ってくるだろうと次の言葉を待つ。
「オレは覚えてるよ」
「え……」
「髪も長くてサラサラで可愛かったなー」
「そんな…だってかなり前だし…」
「⚫︎⚫︎の体温も声も、全部覚えてる」
「どうして…」
「好きな子とのセックスなんて、忘れないでしょ」
耳を疑う。
「嘘だよ…だっていつも色んな女の子が傍にいるし…」
「それはさ、オレも男だから…」
気まずそうに頬を掻く。
「でも、誰と寝ても⚫︎⚫︎と過ごした夜には勝てなかった」
「……」
「今日も一人でどこに行くつもりだったか知らないけどさ」
「どこにって…別に…」
「傷心者の女なんて狙い放題でしょ」
「……」
「適当に声を掛けられた男にサクサクお持ち帰りでもされたら、オレ冷静じゃいられないんだけど」
ただの同期としかお互い思っていないと信じていた。
だから身体の関係も過ちの一つだと割り切っていられた。
「⚫︎⚫︎。取り乱すならオレの前だけにしてよ」
どう接していいのか分からず狼狽した。
