思い出補正
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日が沈み向かった場所は人気のない空き地だ。
暗闇と静寂が包む。
風はいつしか冷たくなっていた。
(もうじき冬が来るのかな…)
待ち合わせ時間丁度にイタチは現れた。
「⚫︎⚫︎」
声の主に身体を向けて微笑む。
「…イタチ、久しぶりだね」
「あぁ」
一瞬だけイタチの表情が緩んだ気がした。
それも勘違いかと思うほど僅かなものだが…
(イタチの笑顔はずっと見てないな…)
視線を手元に落としながら思う。
「どうぞ」
道すがら買ってきた温かい飲み物を差し出した。
「…すまない」
そっと受け取ると、私に続いて封を切る音が響いた。
「イタチは…最近どう?」
「相変わらずだ」
「そっか…じゃあ私の愚痴聞いてくれる?」
「あぁ」
自分がヘマをした任務の話しをする。
ポンコツなエピソードにイタチが呆れて口角を上げた。
失望されてもいい、私はその表情に救われる。
イタチが笑えば、また懐かしいあの時間に戻れるんじゃないかと望みをかけられる。
「ねぇイタチ。今日は冷えるし近くのお店に行かない?」
私ペコペコなんだよね…とお腹を押さえて言う。
イタチは伏し目がちに返した。
「それはできない…すまないな」
(そうだよね…)
予想はしていた。
最近は日中に会う事も、人目がある場所で会う事もなかったのだから。
「こっちこそ…急だったし仕方ないよ」
「……」
「…また今度行こうね」
「……すまない」
(謝罪じゃなくて約束が欲しかったな…)
言葉にできない気持ちを飲み込んだ。
「話せてよかった」
イタチからの別れの合図だ。
「私もだよ。また会おうね」
僅かにイタチの顔が曇る。
「そうだな……」
(もうまたって言ってくれないんだね)
最近耳にしなくなったその言葉は、私を不安にさせるには十分だった。
「⚫︎⚫︎、あの人はやめておけ」
「え?」
「…カカシさんだ」
「どういうこと?」
「昼間会っていたろう」
「……」
どこで見ていたのだろう。
「やめるも何も、始まってもいないよ」
苦笑する。
「カカシとは同期ってだけで別に「髪に触れていた」
「……」
いつから見られていたのだろう。
「あのさ、近くにいたなら声掛けてよ…」
少しだけ怖くなる。
「……あの人は女癖が悪い」
そんな事は気心知れた中ならば皆知っている。
「まぁね…でもカカシは優しいよ」
勝手に覗かれていた仕返しをしたかった。
「優しければいいわけでもないだろう」
案の定、イタチの語尾がほんの少しだけ荒くなる。
「イタチがずっと一緒にいられるなら、そんな心配もないのにね」
冗談めかして笑う。
「……」
嘘でもいいから、傍にいるって言って欲しかった。
私の期待は外れ、耳に届くのは静けさだけだ。
「今日は寒いね」
こんな話をしたい訳じゃない。
気まずさでありきたりな事を話す。
(ダメだ…)
涙が込み上げる。
(早く去らなきゃ…)
「じゃあ、またね」
泣きそうになるのを堪えて無理矢理笑った。
控えめに手を振り、急いで踵を返した。
