思い出補正
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「⚫︎⚫︎先生ー!」
廊下を歩いていると女の子の声がした。
振り返って微笑めば黄色い声が上がる。
「今日もカッコいいですー!」
「ありがとう」
下忍のこの子は最近私に懐いている。
友達も騒ぎを聞きつけたのか、集まってきた。
あっという間に数人の女子に囲われる。
「あーあ、⚫︎⚫︎先生が男だったらなー」
何度聞いたか分からない言葉に苦笑する。
平均よりも背が高く、短めの髪。
初見の後ろ姿では性別が判別しづらいだろう。
この髪型にしてからは同性から言い寄られることが増えた。
「私も、男だったら放っとかないのに」
そう笑って返せば、色めき立つ。
「午後も授業頑張ってね」
「はーい!」
背伸びをしても子どもだ。
表情にあどけなさが残るところが可愛らしい。
別れた後はアカデミーを出た。
午後からは半休を取っていた。
大人になり、自分の為だけに割く時間の贅沢さを知った。
昼下がりの里をのんびり歩く。
働いている人々を見て、優越感に混ざって罪悪感を感じた。
どんよりとした空模様のせいだろうか。
その時、頬にポツッと雨が当たった。
空を見れば雲の色が濃くなっていく。
(雨か…)
大きな雨粒が肩を叩き始めた。
(ダメだ…雨宿りしないと…)
急いで見つけた茶屋に入った。
少しの間だったが、衣服を濡らすには十分の雨だった。
肌に張り付いた服が気持ち悪い。
「いらっしゃいませー!何になさいます?」
「えっと……」
カウンターの木札に書かれたメニューを見る。
「じゃあ……団子のセットを」
「はーい!」
慣れた様子で伝票を書き、店の女の子は奥へと入っていった。
空いている席を探していると、よく知る者の姿が視界に入る。
本を片手にお茶をすすっていた。
「……」
気づかれないように、そっと離れた席を選んで掛ける。
「お待たせしましたー」
「ありがとう」
真ん丸のキレイな団子が美しかった。
早速手にとり口を開けると、肩を叩かれた。
「気づいてるなら声掛けてよ」
団子の為に開けた口で、その名を呼んだ。
「カカシ…」
私の許可も取らず、勝手に前の座席へと腰掛ける。
「久しぶり」
「…久しぶり」
私から特に話す事などない。
気まずさを感じながら団子を頬張った。
「今日は休み?」
「…そう、午後からね」
「へー。オレは今日と明日が休み」
「……」
冷めないうちに次の団子を口へと運ぶ。
「何か言ってよ」
「…よかったね」
「相変わらず冷たいね」
一緒に移動してきたお茶に口をつけ笑った。
「ねぇ、もう伸ばさないの?」
「……」
口の中の団子を喉から胃へとゆっくり送り込む。
「カカシって会う度に言うよね…。切ってから二年くらい経つんだけど」
「だって、可愛かったんだものー」
勿体無い…とカカシが耳元の髪に触れる。
「何度言われても伸ばさないよ」
そう返してそっと手を退けた。
「短い方がラクだし」
「そんなこと言わないでさ」
「……」
「男たちが惚れてたの知ってるでしょ」
「…忘れたよ」
窓の外に視線を逸らす。
雨はすぐ上がったようだった。
雨上がりの空に虹がぼんやりと掛かっていた。
カカシと共有する気になれず、瞳の中にひっそりと閉じ込める。
「性格も変わっちゃったし…。ほんわかした⚫︎⚫︎が可愛いかったのになー」
「……」
「つまんないのー」
唇を尖らせる。
今は扱い辛いとでも言いた気な様子だ。
「ずっと聞きたかったんだけど、⚫︎⚫︎が短くしたのって願掛け?」
「……」
「やっぱり…イタチか」
「違うよ」
カカシに視線を戻す。
「近々動きがありそうだけど、深く介入するなよ」
「……」
それ以上の言葉は発さない。
何か言いたげなカカシだったが、無言を貫く⚫︎⚫︎に溜息をつく。
「まぁオレの言う事なんて聞かないんだろうけど」
手元の皿に視線を落とし、最後の団子を食べ終えた。
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