目の前の正義
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「…端金だったな」
換金所に寄った帰り道、角都がぼやく。
「まぁまぁ、コツコツいこうよ」
サイフ役を任されている角都の気持ちはよく分かる。
同情する⚫︎⚫︎が慰めた。
少し先を行く飛段は、そんなやりとりには一切興味がないらしい。
会話には入らず、胸まで伸びた草を鬱陶しそうに掻き分けながら進む。
荒々しく踏みしめる草の音が急に止まった。
角都が気付いて話しかける。
「…どうした」
その声を聞いて、⚫︎⚫︎も佇んでいる飛段を見た。
空を仰いでいるようだ。
「見ろよ、キレーだな!」
視線の先を追えば見事な虹がかかっている。
やっとこちらへ振り向いたその顔は無邪気に笑っていた。
「角都、虹の袂には宝があるらしいぜ!今から探しに行くか!」
さっきの話の流れを聞いていたのかいないのか、嬉しそうに言う。
「…めでたい頭だな」
呆れて角都が返した。
「…アァ?金になるじゃねェか」
急に一触即発の雰囲気になり⚫︎⚫︎は慌てる。
「ちょっと…!」
二人の交わる視線に身体を滑り込ませた。
「あのね飛段…虹は本当は丸いのよ。地平線があるから私たちには半円に見えてるだけ」
説明する⚫︎⚫︎の言葉に、それ見たことかと角都が鼻で笑う。
「アーア、つまんねー奴らだよ…ホント」
⚫︎⚫︎は可愛い顔してるのに、ロマンチックな可愛げが無ェんだよなと口を尖らせる。
ブツブツ文句を言いながら歩き始めた飛段に、安堵する⚫︎⚫︎だった。
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「おつかれ、乾杯」
⚫︎⚫︎は微笑むが、角都が無言で盃を傾けるのはいつものことだ。
白い水仙の簪を取れば、鎖骨ほどに伸びた髪が生き物のようにしなやかに落ちた。
角都も頭巾を脱いで机に置く。
毎晩のように通う角都の部屋は静かで、布を置く音でさえ響いた。
「そう言えば、今日の飛段は面白かったね」
頬杖をつきながら、クスクス笑う。
「…バカな奴だ」
「そう言ったら可哀想よ」
飛段と時間を共にするようになったおかげだろう、角都の表情が最近明るくなったように感じる。
「バカだが、アイツは死なないから良い…」
「…そうだね」
(私に何かあっても安心だね)
その言葉は飲み込んで、心の中で答えた。
「…⚫︎⚫︎がいなければ黄金も宝もなぜ集める。カネですらオレにとって意味はない」
「え……」
口に出したつもりはなかったので驚く。
「⚫︎⚫︎ほどの宝はない」
そっと⚫︎⚫︎の頬に触れた。
少しの間時が止まっていたが、見開いていた目を細めて⚫︎⚫︎が優しく笑う。
「…そんなこと言えるようになったのも、飛段のおかげなのかな」
「…もうアイツの話はいい」
眉間に皺を寄せる角都を見る。
正しさとは何だろう、時々考えてしまう。
私たちがしていることは間違っているのかもしれない。
でも、大好きな貴方といられるのなら間違いも肯定できてしまう。
理由は探さない。
心が温かいのに冷えていく感覚を誤魔化すように、優しく包む手に頬を預けた。
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