片腕の試練
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指揮をとる者としてミスをした。
退陣の指示を一拍遅らせたのは、“もう少しで立て直せるかも”と思ってしまった私欲のせいだ。
まだ良かったのは、対応できなかった後輩を庇うように負傷したのが私だったことだ。
後輩に怪我をさせていたら、しばらく引きずる所だった。
医者に診てもらった利き腕は、数日の安静を言い渡された。
(ああ、やりづらい)
日常生活の何をするにも不便だ。
食事、排泄、掃除…
両手が使えたありがたみを、嫌というほど思い知らされる。
退院した翌日。
朝目覚めた後、今日をどう過ごそうか考えていると玄関のドアをノックする音がした。
「おはよう、⚫︎⚫︎いる?」
カカシの声だ。
「いるよ、入って」
ドアが開くと、カカシと目が合う。
「久しぶり。ご覧の通りでお構いもできませんが」
寝巻きのまま、ろくに身支度もできない⚫︎⚫︎が苦笑いする。
「昨日退院したんだろ。朝ごはんまだ?」
「うん」
「何か作るよ」
適当に買い食いで済ませようと思っていたが、恋人の存在はありがたい。
「嬉しい、お願いしてもいい?」
「簡単なものだけどね、座ってな」
来る前に買ってきてくれたのだろう。
食材をキッチンに手際よく並べて調理を始まる。
カカシの背中をのんびり眺めながら今更ながらほっとする。
無事に帰れてよかった。
「無事でよかった」
テーブルに出来上がった料理を並べながら、⚫︎⚫︎を見つめて言う。
「…心配かけてごめんね」
私の今回の任務は報告書から知っているのだろう。
それ以上カカシは探ろうとしない。
「冷めないうちに食べよう」
ご飯、味噌汁、焼き魚にお浸し。
手早で感動してしまう。
「「いただきます」」
温かな食事が嬉しかった。
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