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(間違いない、⚫︎⚫︎だ…)
人だかりを壁にして様子を伺う。
花束を持って会計へと向かうようだ。
いのが素早く気づき、笑顔で商品を受け取りながら不思議そうに聞く。
「あれ、カスミソウばかり…カーネーションはいりませんか?」
「うん、大丈夫」
店を出たらなんて話しかけようと考えていると、知らない声が続く。
「ママの好きな花を選んでもらったんだよ」
声の主を視界に入れると、ママという言葉に違和感しかない爽やかな男が隣にいる。
オレよりまだ背が高く、筋肉質な腕がシャツから覗いていた。
「素敵ですねー!彼女さんですか?」
「もと、ね」
⚫︎⚫︎がさらりと訂正した。
「…オレは今すぐにでもよりを戻したいんだけどね」
男が苦笑しながら、いのに言う。
「えー!ステキ!お二人とってもお似合いですよー!美男美女!」
キャーキャーと楽しそうだ。
「ありがとう。お会計お願いできる?」
「はい!」
会計を済ませ店を出てきた二人の様子を窺う。
「⚫︎⚫︎、今日はありがとう」
「どういたしまして」
「ママに伝えるよ」
「…やめて、もう関係ないから」
「どうして?⚫︎⚫︎のこと気に入ってたみたいだし…」
「いいから。あとこれ、使って」
手渡されたメッセージカードを受け取りながら、男が言う。
「用意してくれたの?⚫︎⚫︎のこういう気遣いが好きだった…。ありがとう」
抱きしめようと思ったのか、数歩詰め寄る男に対して自然に踵を返す。
「じゃあね」
「あのさっ!また会えるかな?」
「どうかな」
食いつく男に対して淡々と返して去っていく姿に、少しだけ安堵する。
男の母親とも仲が良かったのか…
深い付き合いだったのだろう。
足早に去る⚫︎⚫︎を目の前にし、今は話しかける雰囲気ではない。
鬱屈した気持ちのまま集合場所へと向かった。
