怪我の功名
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「失礼します」
医務室のドアを開ければ、ほのかに薬品の匂いがした。
風が流れて白いカーテンがふわりと膨らむ。
「あれ、⚫︎⚫︎さん!久しぶりですね」
壁際の机に向かう若い男の医師が嬉しそうに顔を上げた。
「あぁ…良かった、先生がいて」
安堵して話しかける。
「どうしました?」
「怪我の処置をお願いしたくて…」
「それはいけない!傷口を見せて下さい」
ハンカチで強く押さえていた腕を見せる。
傷口はパックリと裂け、滴る血が腕を伝っていく。
「派手にやりましたね…痛いでしょう」
「…まぁまぁ痛いですね」
正直に苦笑して答えた。
教え子が標的から外れて一般人にクナイを投げるから、咄嗟に受け止めたらご覧の通りだ。
自分も油断していたせいもある。
「急いで準備するので掛けていて下さい」
「お願いします」
丸椅子に座り、医師の動きと室内を観察する。
二つあるベッドのカーテンは、一つだけ閉まっていた。
(誰か寝てる…静かにしなきゃ…)
医師はというと、心配をかけたのだろうか…チラチラとこちらに視線を送りながらも手早く準備をしてくれた。
「ここに腕を置いて下さい」
正面に座った医師が消毒の液体を綿に染み込ませた。
「…少し染みますよ」
「っ…!」
顔が歪む。
一瞬、医師が顔を赤らめたことに⚫︎⚫︎は気づかなかった。
「あぁ可哀想に…」
処置が終わるとそっと手が重なる。
「あの…先生…?」
戸惑っていると医師が口を開いた。
「綺麗な⚫︎⚫︎さんに傷がつくなんて…もう忍なんてやめたらどうです?」
突拍子もない話に⚫︎⚫︎は思わず吹き出す。
「あはは、そんなこと言ってくれるの先生くらいですよ」
このくらいで大袈裟です、と笑った。
「ボクの稼ぎなら十分ありますよ」
「…先生?」
「結婚したら家でのんびりと待っていてくれればいいです」
「あの……」
妄想は止まらず、饒舌に語る。
一緒に料理をして、お風呂に入って、子どもは3人くらい…と飛躍していく展開に焦り始める。
「ちょっと、先生…ご冗談を…」
「本気ですよ」
⚫︎⚫︎さんが良ければ入籍は今日にでも!と身を乗り出すので困ってしまう。
「先生ー?もう起きてもいいかな」
その時、閉まっているカーテンの向こう側からのんびりとした声がした。
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