月見酒
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今宵の月は格別だった。
左近たちは各々寝ついたようだが、⚫︎⚫︎は大きな満月から目を逸らせなかった。
静かな闇夜の中、木に登ってぼんやりと仰ぎ見る。
「まだ寝ないのか」
「っ…びっくりした」
てっきり寝ていると思っていた君麻呂の声が下からした。
「明日も早いぞ」
「うーん…あまりにも綺麗で、寝るのがもったいなくて」
下を向いてこたえる。
「…そうか」
静かになったので去って行ったかと思ったら、いつの間にか君麻呂が横に座っていた。
「たしかに見事だな…」
「そうでしょ?」
こんな時に寄り添ってくれる恋人が愛しい。
「そうだった」
⚫︎⚫︎が閃きそっと懐に手を入れる。
「何を持ってる?」
「…へへ」
⚫︎⚫︎の手元を見ると、小瓶とお猪口を手にはにかんでいる。
「…やめておけ」
「ちょっとだけだから!」
今日訪れた里でいつの間に盗んできたのか。
「興味があって…それに初めては君麻呂と飲んでみたい」
「…」
「お願い、付き合って!」
手を合わせて頼むが、表情一つ変わらない。
(やっぱりダメか…)
諦めようと思ったとき、手がスッと伸びてきた。
「…少しだけだぞ」
「うんっ」
嬉しそうに注ぐ。
「乾杯!」
⚫︎⚫︎の元気な声と、器が触れ合う音が小さく響いた。
「…美味しくないね」
苦い顔をして⚫︎⚫︎が笑う。
「…」
肯定も否定もせず、君麻呂は⚫︎⚫︎を見ていた。
「飲んでいるうちに美味しくなるって聞くから、足りないのかなぁ…」
更に手酌をしてグイッと勢いよく⚫︎⚫︎が飲む。
長い年月をかけてのことだろうと君麻呂は思ったが、止める前に⚫︎⚫︎は飲み干していた。
「…見たことか」
今にも木から落ちそうになっている⚫︎⚫︎を支えながら君麻呂が呟く。
頬は赤らみ、荒く息をしている。
「…君麻呂、好きだよ…」
甘い声で呟く。
服がはだけていることにも気づいていないのだろう。
(こんな姿をアイツらが見たら…)
誰かに見られたらと思うとため息が出た。
僕をいつも困らせる彼女はこれだから放っておけないんだと、眠気を誤魔化しながら心の中で思うのだった。
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