盲目の光
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それからしばらく経った休日の午後。
姉が出かけてもいいかと⚫︎⚫︎に尋ねた。
「もちろん」
「ありがとう!夕飯までには帰ってくるね」
いつも急がせてばかりで悪い気がした。
「お姉ちゃん大丈夫だよ、残り物もあるし」
今日はゆっくりしてきて、と伝える。
「本当に?本当に大丈夫?」
心配と嬉しさが入り混じった声がした。
「大丈夫」
安心して、と伝える。
「…ありがとう!」
バタバタと支度をして足取り軽やかに家を出て行く姉を見送った。
(さてと…)
綺麗になっているのか自信がない掃除を済ませ、風呂に入った。
(夕立かな…)
縁側に出れば雨の音がする。
蒸し暑い匂いも鼻をくすぐった。
(吹き込むといけない…)
雨戸を閉めようとすると、隣で声がした。
「手伝おうか?」
「わっ!」
驚いて心臓が煩く脈打つ。
(この声…)
「ごめんね、驚かして」
「…いえ」
お言葉に甘えて手伝ってもらい雨戸を閉めた。
閉めてから家に上がらせてしまったことに気づく。
お姉ちゃんにごめんね、と心の中で謝った。
男は外から来たなら濡れているだろう。
「タオル持って来ますね」
「いいの?ありがとう」
手渡せば、慣れた髪をゴシゴシとタオルで拭く音がした。
「…あの、先日はお店に来ていただいたようでありがとうございました」
「あぁ、こちらこそ」
お陰様で皆喜んでくれたよ、と言う。
全て購入品は女性物だったと聞いたから、さぞかしモテるのだろう。
「今日はあの扇子持ってないの?」
「あぁ…以前持っていた扇子は穴が開いてしまったので修理に出しているんです」
「修理もできるの?」
ええ、ご入用でしたら店にお尋ねくださいと伝えた。
「そんなに大事?」
「大事ですね。両親の形見の一つなんです」
「そっか…」
じゃあコレはいらなかったかな、と言いながら男が⚫︎⚫︎の手を取り持たせた。
「…」
この包装はよく知っている。
家の扇子だ。
「…私にですか?」
「そう。こないだのお礼にね」
「嬉しい…ありがとうございます」
姉以外からのプレゼントなんて初めてだった。
「喜んでもらえたみたいでよかったよ」
男が優しく言った。
「また来てもいい?」
「…お構いもできませんが、それでもよければ」
「話せるだけで満足だよ」
君は色眼鏡もないしね、と⚫︎⚫︎に届かない声で言った。
「ねぇ、名前聞いてもいい?」
「…⚫︎⚫︎です」
「オレはスケアって呼んでくれればいいよ。じゃあね、⚫︎⚫︎」
「えっ…さようなら」
雨戸は閉まっているはずなのに、いつの間にか風のように去って行った。
