水の誘惑
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「帰りたい…」
夏の潜入調査ほど嫌いなものはない。
この暑さで身体に衣類はまとわりつくし、汗の臭いも気になる。
何日お風呂に入っていないんだろう…
考えると悲しくなる。
今日こそ拠点に帰りたい。
森に構えた簡素なテントでも恋しい。
もうじき日の入りだ。
これ以上は収穫もなさそうだし引き際だろう。
任務を終え、後輩たちと情報交換をしに合流した。
後輩たちの進捗状況は順調どころか、帰還に値する成果だった。
「良い情報を仕入れてもらえて助かったよー」
「先輩のお役に立ててなによりです」
「2人のお手柄でやっと帰れる…」
「明日の朝は早く帰りましょうね」
なんて良い子たちだろう。
爽やかな後輩2人に対して、文句たらたらの私が恥ずかしい。
拠点につくと、火を起こして簡単な食事を済ませた。
「明日は私が奢るから、お腹いっぱい美味しいもの食べてね」
「いいんですか?!」
「ありがとうございます!」
任せなさい!と笑顔で言う。
空腹が満たされて眠気に襲われる…。
しかしこの身体で横になるのは躊躇われた。
ふと、近くに流れていた小川のことを思い出す。
「ちょっと水浴びしてこようかな」
「今からですか?先輩、真っ暗ですし危ないですよ」
「そうですよ!この辺りはクマが出ますよ…」
「へーきへーき!月明かりもあるし」
「危ないですって…」
止める後輩たちに懇願する。
「お願い!このままじゃ気持ち悪くて」
「困ったな…」
「じゃあせめて、離れたところで待っていさせてもらえませんか?」
「いいの?ありがとう!」
軽やかな足取りで川辺に向かう。
後輩たちとは少し離れた大木がある場所で別れた。
水はヒンヤリ冷たかったが、火照った身体には丁度よかった。
月夜に照らされた水面がキレイだ。
「⚫︎⚫︎先輩ー!大丈夫ですかー?」
遠くから声がした。
「大丈夫だよー!」
身体を布で洗いながら言う。
「気持ちいいし2人も来たらー?」
後輩たちは顔を見合わせて小声で話す。
「ハァ…こっちの気も知らないで」
「ほんとだよな…。変な気起こしたら殺されるよ」
そう言って任務にあたる前夜を思い出していた。
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面倒見がよく、美人な⚫︎⚫︎先輩との任務なんて心が躍った。
居酒屋に2人で集まり、明日からのことをワクワクして話す。
「お待たせしましたー!」
なぜか注文した覚えのないメニューが続々と置かれた。
「え?これ頼んでないです…」
不思議に思っていると、店員はにこやかに言う。
「あちらのお客様からですー」
視線を動かすと、カウンターに座って手をヒラヒラさせたカカシ先輩が笑っている。
「明日からの任務頑張ってね」
「「…はい!」」
「あと、変な気起こしたら殺すから」
「「はい…」」
先輩が去ったあと、味のしない飯を食べた。
「あの言葉は冗談じゃないよな…」
「爽やかな好青年を演じるのも疲れるよ…」
「でもさ、⚫︎⚫︎先輩が言うんだし、ちょっとだけご一緒してもいいんじゃないか?」
「そんなわけないだろっ」
どこからか冷たい風が吹き、二人に悪寒が走る。
「…諦めろ」
「そうだな…」
水浴びを終えた濡れ髪の⚫︎⚫︎先輩は艶やかだった。
「お待たせ、ごめんねー」
「大丈夫ですよ」
和やかに返す。
悲しいかな、偽りの表情も板についてきた。
当然何事もなく夜明けを迎え里に帰る。
どうやって知ったのか、門の所でカカシ先輩が待っていた。
「おかえり」
「あれ、カカシ…?ただいま」
少し驚いていた⚫︎⚫︎先輩だったが、そのまま一緒に報告に向かう。
話しながら、後ろを歩く後輩たちをカカシ先輩が振り返る。
「君たちもご苦労さま」
きっと全てお見通しなのだろう。
「「…はい」」
誘惑に負けなくてよかったと、心底ホッとする2人だった。
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