追い風に乗って
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「美味しいー!久しぶりのアルコール!」
⚫︎⚫︎はグラスを片手に嬉しそうだ。
「三杯目で言う台詞じゃないけどね」
幸せそうな⚫︎⚫︎にオレは笑った。
紅とアスマは、オレと話したその足で⚫︎⚫︎に妊娠を打ち明けた。
同期で報告したのは⚫︎⚫︎で二人目だそうだ。
そして、未来の子育ての為に⚫︎⚫︎の子と1日過ごしてみたいとお願いをした。
⚫︎⚫︎は快諾したものの、急に一日暇になる事に慣れていなかった。
そんな折に紅は、“カカシが美味しいお店を知っている”と話す。
話は円滑に進み、今は昼からお酒が飲める小洒落た店のカウンターに肩を並べている。
「今頃何してるかなぁ…」
時々⚫︎⚫︎は子どもに思いを馳せる。
「大丈夫じゃない?凄く懐いていたし」
先程オレも紅達に同行し、⚫︎⚫︎の子に久しぶりに会った。
⚫︎⚫︎を小さくしたような、それでいて純粋さだけで固めたような幼子は無邪気に紅と触れ合っていた。
時々紅は子どもに会っていたらしく、とても懐いていた。
「うん、きっとそうだよね」
そう自分に言い聞かせるように呟くと、いつの間にか空になったグラスをカウンター越しに返しながら次の注文をしていた。
「⚫︎⚫︎は家で飲まないの?」
「たまに飲むけど、何かあった時私しかいないんだって思うと酔えるほどはね…」
「あんなにお酒好きだったのに?」
「そうだったねー。夜通し皆で飲んだっけ」
「飲み過ぎてトイレと抱き合ってたね」
「…それは忘れて」
誤魔化すように、受け取った4杯目に口を付ける。
「あれから子どもも出来たし、旦那も飲めない人だったから尚更だよねー」
グラスを見つめて過去の記憶を辿る。
そんな⚫︎⚫︎を見たくはなかった。
「…妬ましくなるからやめてよ」
店内の騒音に掻き消される声で呟く。
「何か言った?」
「…いや」
「………?」
グラスを置いて⚫︎⚫︎は言った。
「でも、あの子が良ければそろそろ一緒に支えてくれる人を探したいんだよね」
安心してお酒も飲めるし、と冗談めかして言った。
「まぁ今すぐにって話じゃないんだけど…「オレがいるじゃない」
⚫︎⚫︎は一瞬驚いた表情をしたが、すぐに顔を綻ばせる。
「……もう、だから似た者同じゃなきゃダメなんだって」
その口癖のように言う、似た者同士がオレに呪いをかける。
(⚫︎⚫︎と同じ舞台に上げてよ)
一呼吸置いてから⚫︎⚫︎の方を見た。
「ねぇ⚫︎⚫︎。オレにもバツが付けばいいの?」
「カカシ…何言ってるの…」
呆れた顔で⚫︎⚫︎がオレを見る。
「じゃあ適当に結婚してみるかな」
「…ちょっとカカシ「冗談だよ。そろそろ二件目に行こうか」
オレはカウンターにお金を置いて席を立つ。
「待ってカカシ……!」
背中越しに慌てて立つ⚫︎⚫︎が、店主にご馳走様と言うのが聞こえた。
