追い風に乗って
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「⚫︎⚫︎じゃないの」
慰霊碑からの帰り道。
賑やかな公園の横を通りながら何気なく視線をやると、同期の姿があった。
幸運な事に、今日は急ぐ用事もない。
久しぶりに声を聞きたくなってベンチに近付いた。
「あれカカシ…!なんだか久しぶりだね」
「何してるの?」
「子どもを遊ばせにねー」
昨日までの数日間、里では雨が続いていた。
久しぶりの晴れ間を楽しむ子供たちで公園は賑わっている。
「今日は天気も良いし、公園日和なの」
視線の先に愛娘がいるのだろう。
出産祝いを同期一同で渡した以来、⚫︎⚫︎の子どもには会っていない。
どの子かと視線だけで探してみたが、記憶は乳飲み子のまま止まっているので見当もつかなかった。
オレは空を見上げた。
青を際立たせるように浮かぶ雲は今日はやけに高く、手の届かない存在に見えた。
「⚫︎⚫︎さんカカシさん、お疲れ様です!」
視界に何度か組んだ事のある後輩の顔が入り込む。
「お疲れさま。なに…デート?」
後輩は彼女らしき女性を連れていた。
「へへっ…わかります?」
あぁ、自慢したいのね…オレは嬉しそうに笑う後輩に苦笑した。
隣の⚫︎⚫︎が言う。
「可愛い彼女だね、お似合いだよー」
「え!そうですかー?照れるなぁ…」
謙遜しながらも後輩は誇らしげに頭を掻く。
「それにしても、お二人が一緒だなんて珍しいですね」
「そうなの、偶然ね」
「並んでいると夫婦みたいですよ」
「こら…変な事言わないの」
「口が滑りました、すみません…。それでは失礼します」
手を繋ぎ去っていく背中を二人で見つめる。
「嬉しそうだったねー」
「…よく付き合ってあげるじゃないの」
あんな見せびらかしオレなら無視するね、と静かに言った。
「そう?可愛いじゃない」
ああいう時が一番楽しいもの、と微笑む。
「あぁ、でも嫌な思いさせてごめんね」
「嫌って?」
「ほら、夫婦だなんて」
「………」
⚫︎⚫︎は嫌だと思うのか。
その事実に傷付く。
「オレはいいよ、⚫︎⚫︎となら間違われても」
「え……」
⚫︎⚫︎は一瞬目を丸くしたが、すぐに笑い出した。
「アハハ。気持ちは嬉しいけど、初婚は慎重すぎるくらいがいいよ」
私に言われたくないとは思うけどね、と明るく笑う。
「バツイチはバツイチ同士で探すからいいの」
そう穏やかに言った一言が、やけに引っかかった。
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