独占欲《続》
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時が経てば記憶は薄れる。
しかし過去から逃れる事が難しいのは、鮮明に思い出すきっかけが身近に散らばっているからだろう。
その記憶が残酷なものであればあるほど…。
日差しが厳しく差し込む午後2時。
その影がドアをあっさり開けられたのは、廊下にいたカカシが任務で不在だった為。
その部屋にいるのがいつもの事務のくノ一だと思っている彼は、ドアノブを回すのにも躊躇いはなかった。
⚫︎⚫︎が食後の眠気に負けないように、欠伸を噛み殺して書類に向かっていると正面のドアがゆっくりと開く。
「失礼します」
「はーい」
書類から顔を上げ、入ってきた人物と目が合う。
お互いの時が一瞬止まった。
「お疲れさまです…久しぶりですね」
「ゲンマ…」
一方的な別れを告げたあの日から、廊下ですれ違う事もあった。
お互い挨拶程度しか交わさない様子を察した同期達は、その関係性に触れる事はなかった。
「そんな顔しないで下さいよ」
苦笑しながら書類を渡す。
再び敬語に戻っていることを知ると、自分の犯した過ちをつきつけられる。
「お願いします」
「…確認するね、掛けて待ってて」
書類に目を通して行く。
ゲンマが来たのは偶然じゃなく必然だったのかもしれない。
彼を傷付けた私への罰だ。
「はい。ご苦労様」
「ありがとうございます」
書類を渡す手が僅かに震えていた。
ゲンマはそれを見逃さず苦笑する。
「⚫︎⚫︎さん、お腹大きくなりましたね」
「え、そうだね……」
足元が見辛くなってくる程膨らんだ、自分のお腹を見た。
「体調は大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫だよ」
「カカシさんは…」
その名を口にしたゲンマの言葉が途切れる。
⚫︎⚫︎は顔を上げられず、静かに続きを待っていた。
「…いや、何でもないです」
それじゃ、と言って足音が遠のいて行く。
「ゲンマ…あの…!「⚫︎⚫︎さんなら、きっと良い母親になりますよ」
声を残してドアが静かに閉まった。
