恋人ごっこ
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大通りを歩いていると、活気のある声が聞こえてくる。
多くの者が休日の今日、どの店も客で賑わっているようだった。
通り過ぎる店を横目で覗きながら足を進めていたが、一つの茶屋でふと止まる。
そのまま迷わず店内へと進んだ。
目当ての背中へと真っ直ぐ向かい、声をかける。
「大食いでもやってるわけ?」
机に突っ伏している彼女の正面に座った。
「その声はカカシか…」
「今日は一人?」
「…一人で食べたい気分だったの」
「そんなに辛そうに?もうやめたら?」
「………」
⚫︎⚫︎は顔を少しだけ上げ、身体は伏せたまま団子を食べ始める。
「行儀悪いよ」
「…放っといて」
「ラブラブの彼氏は?」
「家で寝てる」
「へぇ…相変わらず順調って訳だ」
「…順風満帆よ」
「フーン」
「それで、カカシはいつまでいるの?」
「食べ終わるまでいてあげる。淋しいでしょ?」
「お気遣い結構。帰っていいよ」
「そんな事言わないでさ」
オレが邪魔をしてるせいにしても、⚫︎⚫︎の団子は中々進まない。
「ねぇ⚫︎⚫︎?」
顔を覗き込む。
「…なに」
潤んだ瞳に赤らむ頬。
呼吸のリズムが速い。
「…熱あるでしょ」
「無いよ」
「ちょっとおでこ触らせて」
「イヤ」
強い語尾と眼差しで拒む。
ため息をつきながら聞いた。
「大食いしてる訳じゃなく、それ一皿目ってこと?」
ほとんど手付かずの皿を指差す。
「………」
(食欲無いじゃないの…)
「もう出るよ」
「まだ食べてない」
⚫︎⚫︎が皿を見つめる。
「…じゃあオレが食べるからちょーだい」
皿を自分の方に引き寄せると、すかさず⚫︎⚫︎が皿を引く。
「だめっうつるから」
「…ほら、やっぱり体調悪いんじゃない」
「………」
食べかけの団子を奪うと口に入れる。
「あっ…!」
呆気に取られる⚫︎⚫︎は無視して店主に声をかけた。
「お勘定ココに置いとくよ」
「カカシうつるって…」
「良いよ。⚫︎⚫︎の風邪なら」
そう言って⚫︎⚫︎の足元にしゃがみ込む。
「ほら、乗って」
「えっ…いいよ、歩ける」
「お姫様抱っこにする?」
「っ………」
観念したのかオレの背中に身体を預けた。
「素直でよろしい」
微笑んで立ち上がると暖簾をくぐった。
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