ノイローゼ
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カカシの掴む力が緩んだ瞬間に、スルリと手を抜く。
「あぁっなんで離れちゃうの」
「なんでも何もないでしょ」
(何処だと思ってるの…)
呆れてしまう。
貸切風呂はここだけではなく、壁を隔てた向こうにもいくつかあるようだった。
カカシがふざけている声もだだ漏れだろう。
「私先に上がるね」
「えー、オレ来たばっかりなのに?」
水音を立てて立ち上がる。
「ごゆっくり」
タオルで前を隠して振り向きながら言った。
そのまま縁を目指すが、ふと手が寂しいことに気づく。
「え…?」
身体を覆うタオルがない。
いつの間にか横にいたカカシが握りしめ、ニコニコしている。
「良い眺め」
「…返して」
「やーだ」
「ねぇっ」
「じゃあもう少しだけいてよ」
⚫︎⚫︎と一緒に入れると思って来たのに…と悲しそうに言う。
「………」
お願い、と言ってタオルを差し出す。
「…少しだけだよ」
諦めてその場に座ろうとした私の手を、再びカカシが掴んだ。
「そこじゃないでしょ」
「ちょっと…!」
軽々と身体を持ち上げて膝の上へ座らせる。
「ここ」
向き合って視線が交われば満足そうに笑った。
