逃がさない
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「わっ…!」
頭上の戸棚を開ければ音を立てて大量に物が落ちてきた。
見れば同じ種類の溢れんばかりの菓子だ。
(この間ハマってるって言ったやつだ…)
こんな事をするのは一人しかいない。
カカシだ。
(こんな量、一人で食べたら体調が悪くなる…)
黙々と紙袋に詰めた。
翌日、待機所に行くと各部屋のドアを開けて回る。
「ちょっと来て」
近くにいた後輩に手招きし、カカシに見つからないよう小声で聞く。
「⚫︎⚫︎さんお疲れ様です」
「お疲れ、部屋にいる人数を教えて」
「えっと…5人います」
「ハイこれ。早くしまって!」
「お菓子ですか?ご馳走様です」
菓子を握らせると素早くドアを閉めた。
周囲の様子を伺いながら配ること数十分。
(大分捌けたかな…)
廊下で足を止め、軽くなった紙袋を覗き込んだ。
「⚫︎⚫︎?」
カカシの声がすぐ横から聞こえた。
「何してるの?」
「………」
恐る恐る顔を上げれば、整った横顔と目が合う。
「カカシこそ…何してるの?」
「んー?今日は待機要請が出てるはずなのに、部屋にいない⚫︎⚫︎を探しに」
ね、と微笑む。
きっと見られていたのだろう。
「オレがあげたお菓子でしょ、ソレ」
紙袋を指差す。
背筋が冷たくなるのを感じながら言い訳をした。
「こんなに食べたらいけない気がして…」
カカシは私の好きな物を知ると、大量に仕入れてくる。
今回は伝えてないはずなのに、どこから情報収集したのだろう。
「好物に祟りなしって言うじゃない」
「限度があるでしょ…前にもこんなにいらないって言ったのに」
「オレの愛が近くにある証拠だよ」
カカシは反省もせずに笑う。
「ねぇ⚫︎⚫︎、今度はどこへ旅行に行く?」
「え、先週行ったばかりじゃない」
長期休暇の申請を出して間もない。
慌てて返した。
「帰りに次回の相談したでしょ」
「それはそうだけど…そんなに休み取れないよ」
早すぎない?と問うと、早すぎないと言い切られる。
「だって、里から出ないと二人っきりになれないでしょ」
「………」
「海にしようか?」
絶句する私を無視して話出す。
「カカシ…なんだか急ぎすぎだよ」
カカシと付き合い始めて半年。
一人でのんびり過ごした休日は、数えるほどしかなかった。
「急いでる訳じゃないよ。ただ…オレの見えるものだけを見て、聞こえるものだけを聞いてほしいからさ」
「………」
カカシの名は私と違って誰もが知っている。
良い噂も悪い噂も一人歩きするのが、有名になる代償だ。
時々カカシは言う。
私が誤解しないかと不安になるのだと…
いっそ軟禁したいと言い出した時にはゾッとしたが。
「…近場ならいいよ」
「やった」
そんな風に言われれば、結局私が折れるのだ。
口布を下げて頬にキスをされた。
気を取り直して待機室へと歩き出す。
「⚫︎⚫︎、大好き」
数歩後ろをついてくるカカシが言う。
「…私もだよ」
「知ってる」
満足そうにカカシが笑う。
私たちの間に恋の駆け引きなんてない。
真っ直ぐなこの恋愛に、非常口はなさそうだ。
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