器用な彼女
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行燈の灯りがゆらめく。
障子に映る二つの影は静かに会話をする。
「⚫︎⚫︎、助かるよ」
「もっと早く言ってくれればいいのに…」
針を半襟に通しながら、彼女は困ったように言った。
明日は授業で急遽町に行く事になった。
女装で着物を着用と言われ、慌てて長襦袢を出せば半襟は薄汚れていた。
食堂で会った恋人に頼み込み、夜分に縫ってもらう約束を取り付けたのだった。
「文次郎なんて爆睡してるし…」
布団で呑気にいびきをかいている男を見ている。
「⚫︎⚫︎が引き受けてくれて安心したのだろうな」
「…仙蔵は甘すぎるよ」
「そうか?」
「私の事はこき使うくせに……」
「⚫︎⚫︎だからだよ」
よく出来た恋人で誇らしいと仙蔵は笑う。
そんな言葉よりも、私も甘やかされたいとぼやく。
「仙蔵と同室だったら良かったのに…」
そう言って唇を尖らせる。
「それは困るな」
「なんでよー」
だって、と言い掛けると⚫︎⚫︎が遮るように話す。
「あ!伊作の部屋に行けばお姫様扱いしてくれるかも」
うんうん、と頷く彼女に低い声で言う。
「…⚫︎⚫︎、伊作も男だ。」
真面目に返せば、頬を膨らませながら冗談だよと言う。
「…ほら、終わったよ」
素早く畳まれた二枚の長襦袢が手渡される。
「相変わらず手早だな…」
器用な恋人に感心していた。
「半襟はちゃんと洗ってね」
取り替えた襟も渡される。
「あぁ、本当に助かったよ。ありがとう」
「どういたしまして」
夜も更けていた。
そろそろ寝ないと明日に響くと思ったのだろう。
素早く道具を片付けていく。
「じゃあね、明日は頑張って」
「………」
部屋に戻ろうとする⚫︎⚫︎の腕を引いた。
私の膝に座らせ、後ろから抱きしめる。
「仙蔵っ…「知っているか?私があのように寝れば、⚫︎⚫︎がいつも夢に出てくる事を」
文次郎を指差しながら話す。
「…私が?」
「あぁ…夢で何をしてるか知りたいか?」
「うん……」
夢で毎夜繰り返される甘い営みの事を囁く。
「っ……」
「同室で困ると言ったのは、⚫︎⚫︎を寝かせてやれなくなるからだ」
寝不足は肌に悪いだろ?と伝えれば、赤い顔でゆっくりと頷いた。
「あぁ…このままこの世に二人きりならいいのに」
⚫︎⚫︎は耳まで赤くなる。
彼女の浴衣の襟を下げて、肩に噛み付いた。
「痛っ…!」
「……これで誰の部屋に行っても、私の物だとわかる」
赤くなった箇所をそっと撫でた。
「誰にも渡さないよ」
心地良い夢のような毎日を、私は愛していた。
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