隣の座
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「⚫︎⚫︎、なぜ不機嫌になる?」
「……」
今日は授業で町へ来ていた。
男女で組み、指示のあった情報を聞き出す。
⚫︎⚫︎がクジで引き当てた相方は、偶然にも本物の恋人だった。
しかし、デート気分に浮かれたのは一瞬だった。
声を掛けた女性達は仙蔵を見て目がハートになるし、隣に私がいてもお構いなしで住処まで聞き出そうとする者もいた。
隣にいる私は妹か何かと思われているのか…
不愉快極まりなかった。
「ここからは手分けしようか」
嫉妬していると素直に言えれば良いのに、私の性格が邪魔をする。
仙蔵の返事も聞かずに歩き出した。
「⚫︎⚫︎っ」
十分後にココに集合だぞ、と仙蔵は困ったように声を掛けた。
頭を冷やそうと茶屋に入れば、店の女の子がいらっしゃいと明るく言った。
壁の品書きを見ながら注文をして席で待つ。
忘れたいのに先程の事が頭に浮かんだ。
(一緒にいられて楽しいと思ってたのにな…)
仙蔵の隣に立つ自分は不釣り合いだと思い知らされた。
今も女性の黄色い声を浴びながら調査をしているのだろうか…
⚫︎⚫︎の心中は穏やかではないが、品を届けに来た子への聞き取りも忘れない。
意外にも有力な情報が手に入った。
(これなら帰れるかも…)
手土産が出来たことに安堵しつつも、喜びを分かち合う相方がいない事が淋しかった。
茶をすすって団子を頬張った。
「お隣いいですか?」
急に話しかけられて驚く。
見れば私と歳はさほど変わらないだろうか、男性が立っていた。
綺麗な身なりから育ちが良い事が伺えた。
「どうぞ」
気持ちを切り替えて微笑んだ。
機嫌の悪さを他人に悟られるほど、恥ずかしい事はない。
「ありがとうございます」
椅子に掛ける身のこなしも上品だ。
男が注文をし終えるまで、つい観察してしまう。
「…そんなに見られると恥ずかしいですね」
男が照れくさそうに言う。
慌てて謝った。
「すみません、不快でしたよね」
「いえ、美女に見られて照れてるだけです」
笑って言う。
冗談なのだろうが、言われ慣れていないので頬が赤らむ。
こんな時、仙蔵なら上手く返すのだろうか…
居心地が悪くて急いで残りの団子を頬張った。
「可愛いですね」
「んっ……⁉︎」
隣の男性が急に変な事を言うものだから、団子が喉につかえた。
慌ててお茶を飲む。
「大丈夫?」
苦しそうな⚫︎⚫︎に詫びる。
「ごめんごめん、食べてる姿が可愛いなーって」
頬杖をついてニコニコと笑う男性と目が合った。
「良かったら名前を伺ってもいい?」
「えっと……⚫︎⚫︎です…」
「⚫︎⚫︎ちゃんか」
少し間を置いて男が言った。
「ねぇ、良かったらまた会えないかな?「会えないさ」
頭の上から声がした。
「⚫︎⚫︎は私のだからな」
「……仙蔵」
「帰るぞ」
ここに代金は置いておく、と店主に伝えて⚫︎⚫︎の手を引き店を出た。
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