愛の鎖
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
日暮れ時。
人々の長い影を見ながら、⚫︎⚫︎は一人里を歩いていた。
今日は何をしていたのかと聞かれれば、曖昧な返答しかできない一日を過ごした。
こんな休日が私らしい…と、無理矢理自分を納得させながら帰り道を進む。
(夕飯は何にしようか……)
冷蔵庫の中を思い出していると、背後から声がした。
「⚫︎⚫︎ちゃん」
「え?」
名を呼ばれて振り向けば、見覚えのある男性が立っている。
「久しぶりだね」
「…お久しぶり、です……」
(誰だっけ…見た事はあるんだけど…)
「今日は休み?」
「はい…」
親し気な様子に更に焦る。
ここは正直に言うべきだろう。
「あの…失礼ですがどなたでしたっけ…」
「えー、悲しいなぁ…」
「ごめんなさい…」
男は名乗るが、名前を聞いてもハッキリと思い出せない。
「久しぶりに会えたんだから、少しだけ歩こうよ」
「そうですね……」
断れる雰囲気でもなく、気まずさを抱えながら一緒に歩いた。
強めの香水の匂いが風に乗って香る。
嫌な香りではなかった。
(鼻は効く方だから、香水で思い出せるはずなのに…)
自慢の嗅覚は箸にも棒にもかからない。
他愛もない話をしながら、⚫︎⚫︎は必死に思い出そうとしていた。
記憶の一日一日を遡っていく中で、数分後にやっと閃く。
「あ!あー!あの時の…!」
「もしかして、いま思い出したの?」
目を丸くしながら男が笑う。
「え…ちょっと待って!じゃあナルトなんだよね?」
一ヶ月ほど前、友達に無理矢理連れられて逆ハーレムの術を見せてもらったことがある。
その後、友達が気に入った彼と一緒にデートをしたいというので、適当な男性を誘い4人でご飯を食べたのだった。
「惜しいな…ナルトじゃないよ」
「どういう事…?」
「ナルトが術を会得する為に、モデルにしていたのがオレなんだよ」
「え…じゃああの日のナルトとは別人なの…?」
「ご明察。だから本当は初めましてなんだよね」
「………」
言われてみれば、言葉の選び方や仕草が少し違う気がした。
「変化にはみんな実物がいてね、こうやって自分とデートしてくれた人と会う奴も少なくないよ」
「それってトラブルになったりするんじゃ…」
「トラブルよりも付き合い出した話を聞く方が多いかな」
(混乱してきた…)
しかし彼の言う事が真実ならば、あてにしている自分の嗅覚に自信が持てる。
(だから嗅いだ覚えのない匂いだったんだ…)
「オレは自分の意思で会いに来たの」
そう言って彼は微笑んだ。
