二人のこだわり
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掻っ切った頸動脈から血飛沫が上がる。
僅かだが忍服に染みを付けた。
(チッ……)
立ち回りに気をつけていたのに、カカシは不愉快極まりないという顔で眉をひそめた。
最後の敵が倒れると、周囲にいた顔の無い味方達は音も無く散って行く。
静寂が訪れた森の中で、短く息を吐き緊張を解いた。
無意識に息を吸い込めば、冬の鋭い寒さが肺に送り込まれる。
思考を切り替えた。
里で⚫︎⚫︎が待っている。
このまま会いに行くつもりだったが、こんな血生臭い姿では会えないじゃないか。
移動の時間も惜しいのに、寄り道をしなくてはならず苛立った。
シャワーと着替えを終え、⚫︎⚫︎の家へと向かう。
「カカシ、おかえり」
柔らかく笑って出迎えてくれる彼女に、顔の筋肉が緩む。
「ただいま」
「お疲れさま、待ってたよ」
「お待たせ。行こうか」
「うん」
二人で他愛もない話をしながら里を歩く。
時々多重人格じゃないのかと思うほど、⚫︎⚫︎の前では気が緩む。
スイッチを切ったオレは間抜けな顔をしているのだろうか。
目当ての宝飾店に着けば、クリスマスの混雑にうんざりした。
(⚫︎⚫︎と二人きりなら良かったのに…)
店主に金を握らせて貸切にでもすれば良かった。
そんな気持ちは⚫︎⚫︎からは露ほども感じられない。
賑やかな店内を進み、数分後歩みを止めた。
「コレにしたいな」
「…これ?」
「うん」
そう言って⚫︎⚫︎が指差すのは、シンプルなピアスだ。
「…ねぇ、もっといいのにしたら?」
せっかくのクリスマスプレゼントなんだしさ、とオレは言う。
「…でも、これがいい」
⚫︎⚫︎がじっと見つめる品には、子ども同士のプレゼントでも買える値段が添えられている。
大の大人が送り物で選ぶ品ではない。
「それもいいけど…こっちも⚫︎⚫︎に似合いそうだよ」
少し離れた棚の商品を指差す。
イミテーションではない宝石が照明を反射して輝いていた。
肩を両手で優しく掴み、近くの鏡に向かわせる。
耳に重ねて鏡越しに微笑んだ。
「ほらカワイイ」
「………」
「これにしよう?」
「…でも、こっちがいいの」
一瞬オレの手元に視線をやるが、すぐにまた先程の品へと戻ってしまう。
思い返せば高価な物をねだられた事がない。
「ねぇ⚫︎⚫︎。オレって結構高級取りなのよ…遠慮してたりしないよね?」
「そんな事ないよ」
「………本当?」
「本当にコレが気に入ったの」
ほら、と言って手にする。
鏡の中で視線を絡ませ、オレの髪に重ねた。
「カカシと同じ色」
微笑む⚫︎⚫︎に目が離せなくなる。
(あぁ…)
こんなに純粋な彼女はオレには勿体無い。
「お願いカカシ」
「…分かったよ」
オレが折れれば嬉しそうに笑った。
会計を済ませて店を出る。
「気持ちと記憶が包まれてればいいの」
⚫︎⚫︎はそう言って大事そうに小さな箱を受け取る。
謙虚な彼女が愛しかった。
腰に手を回し引き寄せる。
「…まぁオレもプレゼントは外見より中身かな」
先程まで生死の危機に晒されていた身体は、子孫繁栄を求めている。
後でゆっくり味わうねと耳元で笑った。
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