独占欲
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ゲンマと付き合い出して数日が経った。
共に時間を過ごすようになって分かったことは、料理も掃除も⚫︎⚫︎より腕が立つということ。
「⚫︎⚫︎って家事は不器用っすよね」
「…ゲンマは器用貧乏よね」
「うるせぇ」
「ふーんだ」
悔しくて言い返した。
分かってはいるが言われると傷つくもんだ。
「まぁそう膨れないで下さいよ…。俺がみっちり花嫁修行してやりますから」
「うーん…」
ゲンマの修行は厳しそうだと眉間に皺が寄る。
「ご褒美あげるから頑張りましょ」
ほら、と投げられて思わず受け取ったのは里で名高い高級チョコの小包だ。
「いいの…?まだ修行してないのに?」
「最初のやる気が肝心でしょ」
「やさしー!」
喜んで包みを広げて口に放り込んだ⚫︎⚫︎に、ゲンマがニコリと笑う。
「…食べたからには、みっちりやりますよ」
「…はい」
その日から、2人でキッチンに立つことが増えた。
ゲンマの指導は怖いかと思いきや、意外と優しく分かりやすかった。
後輩たちから好かれる理由が少し分かった気がする。
「…できた!」
とある日の夕飯の課題はカニクリームコロッケだった。
作りながら思ったが、手間暇を考えればお店で買った方が絶対コスパが良い。
盛り付けたお皿を見て、ゲンマが明るく言う。
「お、いい感じ」
「はやく食べよ!」
急いで他の品もテーブルに並べた。
「「いただきます」」
熱々を一口食べれば、サクッと揚がった衣の中に、とろりとしたクリーム。
「よかった…!美味しくできた!」
感動する⚫︎⚫︎を優しい眼差しで見るゲンマ。
「美味ぇ…クリームもはみ出てないし。これだけできれば完璧です」
「やったー!」
免許皆伝だと喜ぶ⚫︎⚫︎。
夕飯をペロリと食べ終えると、洗い物はゲンマが請け負ってくれた。
1人も淋しいので、⚫︎⚫︎も少し手伝いながら話す。
「頑張りましたね」
「ゲンマのおかげ」
「その通り」
自信満々に言うので思わず笑う。
「ゲンマって自己肯定感ありすぎて羨ましいよ」
「それ褒めてます?」
「褒めてる褒めてる」
ゲンマとする無駄話は楽しい。
「ねぇ、前に言ってたご褒美ってなに?」
「あぁ、ちょっと待っててください」
洗い終えた手を拭いて、ゲンマはリビングへ消えた。
しばらく待っていると、ゲンマが煌びやかな缶を持ってきた。
「これってあの有名和菓子屋の…!」
「頑張りましたからね」
「開けていい?」
「ええ」
丁寧に封をきり、中身を見れば宝石のように輝く飴が数粒ある。
ただでさえ混む和菓子屋が最近始めたのは、1日限定3箱の金箔入りの飴だ。
たかが飴、されど飴。
買い求める客で、連日店先が戦場のようになると言われている。
「うれしー!食べていい?」
「もちろん」
勿体無いなと思いつつも、嬉しさが勝って一粒口に放り込む。
控えめな甘さに爽やかな柑橘の香りが広がり、幸せな気分に包まれた。
「頑張ってよかった…!」
「ははっ、そりゃ良かった」
大袈裟に喜ぶ⚫︎⚫︎に、けたけたと笑うゲンマ。
「そうだ、オレも気になってたんだ。味見させてください」
そう言って近づいたかと思うと、唇が触れ合う。
「んっ…!」
強引に舌が割り込み、⚫︎⚫︎の口内で飴を転がす。
驚いているとゲンマの視線と合って気まずくなった。
恥ずかしくて遠慮がちに目を閉じる。
ゲンマが一瞬離れたかと思うと、⚫︎⚫︎の耳元で囁く。
「まんざらでもねぇじゃん」
「そんなことっ…!」
開いた口を塞ぐように、また唇が重なる。
「んんっ…!」
⚫︎⚫︎の吐息が部屋に響く。
激しくなれば口から溢れた液が、口の端からいやらしく垂れた。
「ゲンマっ…」
悲痛な声でゲンマの名を呼べば、やっと身体が離れた。
「…まぁまぁだな」
「なんでっ…」
真っ赤になって⚫︎⚫︎が言う。
「なに?もっとしてほしかったです?」
意地悪い笑みを浮かべながらゲンマが言った。
「ちがうっ!言ってくれれば一つあげたのに」
「それだと意味ないっすよ。俺にもご褒美です」
肩で息をする⚫︎⚫︎に、ゲンマは楽しそうに笑った。
