【ログ】Pixiv短編ログ(全年齢)

 ある春の朝。
 高校を卒業した弟を連れて、俺はパチンコを打っていた。


オトナ入門


「一彩くん、お誕生日おめでとう!」
 人の輪の中心で、俺の弟が笑っていた。そう、今日の主役は俺の弟だ。
 ESの各事務所は所属アイドルのバースデーイベントを律儀に行う。ES関係者のみが集まる、ささやかな手作りのパーティーだ。その光の中心で俺の弟、一彩は沢山のプレゼントを抱えて祝いの言葉に応えている。ユニットメンバーやサークルの仲間たちに囲まれて幸せそうだ。
 俺は宴もたけなわという頃を狙って事務所のラウンジに行き、端でこっそりイベントを見守っていた。そのまま適当に、プレゼントの山に俺の分を混ぜて帰ろうと思っていたんだが、タイミング悪く弟の側を離れた藍ちゃんと目が合った。
 俺の弟のカノジョ、藍ちゃんは俺を見つけるなり迷子の子を見つけたみたいに目を見開いた。
「燐音先輩、遅いよォ! ヒロくんが待ってたんだからねェ」
「見つかっちまったか」
 逃げるのは簡単だが、弟の大切な子にそう言われちゃあ弱い。俺は藍ちゃんに連行され、そのまま弟の前に突き出された。
「兄さん! 来てくれたんだね、ありがとう!」
 三角帽子に『本日の主役』のタスキをつけた浮かれた姿の弟が、おめでたい笑顔で俺を出迎える。
「まあ、いーってことよ」
 随分前から見てたけどな。いつもなら俺の気配にはすぐ気づく奴なんだけど、これは都会に牙を抜かれたかなと思う。
「藍ちゃん、俺っちの分のご馳走残ってる?」
「はいはァい、見繕ってきますよォ」

 パーティー会場はスタプロの会議スペース。俺は空いている席に案内され、一彩と向かい合って座った。ずっと来客の対応をしていたという一彩はケーキ以外食べていないらしく、藍ちゃんが選んできてくれたビュッフェのご馳走に幸せそうにありついていた。
 主役がステージを降りて食事を始めたのを合図に、パーティー会場の雰囲気は落ち着いた。ALKALOIDの他の三人も、通り道を挟んだ反対側のテーブルで食事をとっている。
「兄さん! 僕、十八になったよ!」
「知ってるよ。おめでとさん」
 誰が用意したのか、立派なスペアリブが盛り付けてあったのでそれをいただく。俺の分だと言って藍ちゃんが持ってきたケーキには「R」の形をしたチョコレートが乗っていた。多分BIRTHDAYの「R」だろう。
「ところで兄さん、都会では十八になったら色んなことが許可されるんだよね?」
「お、おう」
 頬についたクリームを拭いながら、弟がそんな話をする。
「それで兄さんに頼みがあるんだ!」
「何だよ」
 いちいち大きい弟の声に、近くにいた藍ちゃんたちが心配そうに振り返った。嫌な予感がした。そしてそれは見事に的中する。
「十八になったら入れるお店に連れて行って欲しいよ!」
「えェ! そんなの絶対ダメだよヒロくん!」
 真っ先に反応したのは藍ちゃん。藍ちゃんが慌ててこちらのテーブルに来る。
「どうして? 兄さんはいつも楽しそうにパチンコに行くよ」
「それは燐音先輩だからでェ」
「藍ちゃんそれは雑じゃねえ?」
 しかも行きたいところパチンコかよ。俺は溜め息をついて一彩と藍ちゃんが何やら言い合っているのを眺める。行きたい、ダメ、を繰り返している二人では埒が明かないと思い、俺は現保護者の二人に話を振った。
「ちょいとお二人さん。お宅の子がパチンコ行きてえって言うんだけど連れてっていいのか?」
 こちらの様子を伺いながらコーヒーを飲んでいた、風早巽と礼瀬マヨイ。ALKALOIDのメンバーの年上コンビと目が合う。マヨイちゃんの方にはすぐ目を逸らされた。
「実のお兄さんにお宅の子と言われるのは少し不思議な感じがしますが。そうですねえ、高校を卒業してからなら一彩さんの自由にして良いのではないでしょうか」
 巽クンが穏やかに、冷静にそう言った。それを聞いて一彩に抗議していた藍ちゃんがピタリと固まる。
「そういうもん? パチンコだぞ?」
 てっきり「遠慮願いたいですな」と言われると思っていた俺は拍子抜けする。
「十八になったらすぐ行けるんじゃないんだ」
「当たり前でしょォ! 高校卒業するまではダメ! てか卒業後も行って欲しくないし」
 言い合う一彩と藍ちゃんをよそに、巽クンはにこにこと答える。
「お兄さんが一緒なら大丈夫でしょう。ねえ、マヨイさん」
「は、はいィ! 個人的には一彩さんが悪い遊びを覚えないか心配ですが私の知らないところでいつの間にか覚えてきちゃうよりはいいかと!」
 マヨイちゃんが早口で言い切ったそれには一理あった。俺の弟はいつも突拍子なく頓珍漢なことをする。焦らしたり禁止したりしたら、勝手に一人で行っちまいそうだ。
「それもそうか」
 皆が賛成するとは思っていなかったらしく、藍ちゃんが今度は先輩二人に抗議する。
「えェ……タッツン先輩とマヨさんまでェ」
「いやでもよォ藍ちゃん、確かにコイツは放っておくと一人で行っちまうからよ」
「燐音先輩と一緒なのも不安だけどォ?」
 いつもならここで、藍ちゃんが「おれも行く!」と言い出すところだが、さすがにパチンコだ。十八未満を連れて行くわけにはいかない。
「大丈夫だよ藍良! 良いことも悪いこともしっかり勉強してこようと思う!」
 自信満々に胸に拳をあてて宣言する一彩。こうなってしまうと、この場にいる誰もこいつを止められないようだ。
「分かったよ。高校卒業した時にまだその気だったら連れてってやるよ」
 俺が観念して答えると、藍ちゃんが溜め息をついて項垂れる。
「お願いだから、自分がアイドルだってこと忘れないでよォ?」
 こうして最終的に藍ちゃんが折れて、俺は一彩をパチンコに連れていくことになってしまったのだ。


◇◇◇

 そして一彩は、誕生日にしたその約束を当然しっかりと覚えていた。まあ、誕生日も高校の卒業も色んな人に散々祝ってもらったろうから、俺からはこういう遊びに連れて行ってやるのがいいのかもしれない。
「兄さん! これはどうやって遊ぶの!」
 パチンコ店はとにかくうるさい。ただでさえ声の大きい一彩が周りの音に負けじと声を張り上げるから、俺の片耳が悲鳴をあげる。
 俺はハンドルの握り方と役割、抽選のルールを一通り説明してやった。一彩が選んだ台は、昔の野球漫画が題材になっているもの。野球のルールは一彩も知っているらしいから、とりあえず「ホームラン」を目指せば良いと教えた。
 調子が良い時は画面に「ヒット」「ツーベース」など景気のいいワードが飛び出すし、パチンコ初心者でもツイているのか負けているのか分かりやすいだろう。
「兄さん! 満塁のチャンスだって出てるよ!」
 いきなり景気が良すぎるワードが飛び出し、俺は思わず自分の台を放って一彩の台を見る。台についているLEDが派手に光り「大当たり中の大当たり」を決めるための抽選が始まっていた。
「バカ、手放すな!」
 俺は驚いて手を緩めている一彩の手をハンドルに戻し、玉が飛び出す強さを確認する。
「いいか? ずっとそのまま握ってろよ!」
「わ、わかった!」
 俺は急いでカゴを貰ってきて、玉の出口に置いてやる。
「ホームランだって! 兄さん!」
「よっしゃ、当たってる間は玉切らすなよ!」
 俺は羨ましすぎる玉の出方をしている弟を横目に、内野ゴロを繰り返す自分の台の面倒を見た。俺は途中で自分の台に玉を追加するのを止め、少ない残りの玉を全部弟の台にBETした。


「兄さん、パチンコって結構面白いんだね」
 景品を交換した後、店先の空気を吸っての第一声がそれだった。一彩が楽しんでくれたようでひとまず安心する。
 最終的に、一彩のパチンコ玉はスタッフが台車を持って来てくれるまでの量になった。ビギナーズラックってやつかな、と呟いた俺の声は、計数機にジャラジャラと入っていく玉の音でかき消された。
「面白いだろー?」
 そう言って俺は一瞬藍ちゃんの顔が頭に浮かんだ。「面白い」だけで終わらせたらALKALOIDの教育方針にそぐわない気がして、俺は慌てて付け足す。
「でも今日はたまたま運が良かっただけだからな?」
「分かっているよ。パチンコに行った兄さんがご機嫌な時の方が少ないからね」
「ぐ……」
 一彩は、パチンコの景品の中から両手で抱えるくらいのクマのぬいぐるみを選んでいた。藍ちゃんに土産かとからかえば、満面の笑みで肯定された。
「藍ちゃんが十八になるのを待って、一緒に来たら良かったんじゃねーの?」
 弟とそのカノジョが並んでパチ打ってるとこなんて、正直見たくないけど。
「ウム、でも藍良は嫌がるかもしれないし、僕が先に経験しておけば、藍良が十八になった時に僕が藍良に教えてあげられるよ。面白さも、危険も」
 一彩がクマのぬいぐるみを撫でながらそう言った。その表情を見て、俺は合点がいく。
 こいつ、藍ちゃんより先に経験できることがあるのが、嬉しくてたまらないんだろうな。パチンコに興味があると言うより、藍ちゃんより先にできることを探してるって感じだ。
「勝ったし他にもどっか行くか? それとも藍ちゃんにもっとお土産買ってくかぁ?」
 一彩の顔がぱっと明るくなる。何か面白い遊びはあるかとスマホで店を検索していたら、一彩が俺の腕を引っ張った。
「まだ行きたいところがあるから付き合って欲しいよ!」
「は?」


 ぐいぐいと腕を引っ張られて連れてこられたのは、レンタルビデオショップだった。俺は嫌な予感がした。この建物の中にある「十八歳未満」は「立ち入り禁止」の場所なんて思い当たるのはひとつだけだ。
「この暖簾の向こうに行ってみたいんだ」
 かわいらしいクマのぬいぐるみを抱え、一彩は黒い暖簾を指差した。それにはデカデカと「十八歳未満の方は入らないでください」とプリントされている。
「一彩、ここはお前が知らなくてもいい場所だとお兄ちゃんは思うぞ」
「ウム。でも藍良にここには何があるのかと聞かれた時、答えられるようにしておきたいんだ」
 俺の弟くんは至極真面目に答えた。その目はまっすぐで、輝いている。
「その必要は……っていうか藍ちゃんも何となくは知ってるだろ……」
 自分がアイドルだということを忘れるな。藍ちゃんが弟くんに言ってくれた言葉が俺にも響く。ここに入るのはリスクが高すぎる。
「実体験に基づいた解説ほど、説得力のある話はないよ」
 だから体験しなくていいんだっつーの。俺は声に出してツッコミを入れるのを諦めた。多分コイツは自分の目で確かめないと理解しない。わざわざここまで来たのに、薄い布たった一枚向こうを見ずに帰るのは納得がいかないのだろう。
 ここは俺が折れるしかない。俺は弟が被っているキャップをさらに深く被らせる。とん、と背中を押して「入ってみろよ」と合図した。一彩は少し戸惑うような反応を見せたが、許可が下りたことが嬉しいのか頷いてカーテンを捲った。
 それの向こうには、俺の想像通りの空間が広がっていた。先に一歩入った一彩が立ち止まって固まっていたので俺はその背中にぶつかりそうになる。
 売り場には、言葉にしがたい映像商品が並んでいた。人間の欲望を煽るタイトルに、直視しがたいパッケージ。人間を性癖でラベリングするのが急に当たり前になる独特な空間。
 いくら掃除したって、この区画から「清潔さ」を感じることは無いだろう。
「納得したか?」
 俺は店内を呆然と見渡している弟の肩に、ぽんと手を置いた。
「ウム。……なんで兄さんが止めたのか理解したよ」
 一彩がぬいぐるみを抱えて立つのが全然似合ってない場所だ。俺はすぐにでもこの場を後にしたいのだが、一彩の好奇心が満たされるのを待たないといけない。
 一彩がゆっくりと歩みを進める。そんなにじっくり見て欲しくはないが、今日限りだろうからたっぷり勉強して帰ればいい。俺も詳しくないけど。
 目のやり場に困るのでとりあえず一彩の行動を見守っていたら、比較的まともに見ることができそうなパッケージの多い「美少女」とポップの立った棚の前で立ち止まった。制服姿の女の子がカメラに向かって微笑んでいるそれを手に取って、一彩は一体何を考えているのか。
「ここは二人で来るところじゃねーの。一人でこっそり来る所なの」
「兄さんは利用したことがあるの?」
「ねーよ! お前、それ置いとけとりあえず! 藍ちゃんが泣くぞ」
「どうして藍良が泣くの?」
「何でってそりゃあ……」
 付き合っている相手がこういう店に来てるってフツーは知りたくねーだろ。
 そもそも一彩と藍ちゃんってどこまで進んでんだ? こういうビデオが必要なほど欲求不満でもないだろうに。いや知らねえけど。
「でも確かに、僕たちアイドルにふさわしい場所ではないことは分かった」
「ここで嫌な自覚すんなよ」
 俺が肩を落とすのを見てか、一彩が手に持っていたそれを棚に戻してくれた。
「これで分かったろ。早く出るぞ」


 一彩の十八禁解禁ツアーの最後に、映画に付き合わされた。言わずもがな、年齢制限ものの映画だ。「エロティックでバイオレンスなスリラー映画」と謳われたそれは、ポスターからしてなかなかのシュミだった。
 ストーリーは面白かったが、そういう嗜好の人を喜ばせる演出がこれでもかというほど出てきて、俺はジュースとポップコーンを殆ど余らせた。
 グロテスクなもんはガキの頃のほうが見慣れてたかもな。俺もしっかり都会に染まっちまった。
 上映中、一彩の様子をこっそり見てみたが、クマのぬいぐるみを膝に乗せてじっと映画に見入っていた。面白いと思ってるならいいけど、表情からは感想は読み取れなかった。

「で? どうだった?」
 余ったポップコーンをロビーで食べながら、俺は一彩に映画の感想を聞いてみた。一彩は「面白かった」と呟いたあと少し考え込む。
「どうした?」
「ウム。十八歳になったら許可されることって、何というか下世話なものとか、何故これが必要なのか分からないものばかりだったよ」
「そりゃあ、子どもには教育上よろしくないもんが十八禁になってんだからな」
 子どもには刺激が強すぎる。大人だって、好みが分かれるもんだからな。
 俺はスマホで「十八歳 できること」と検索してから、適当な記事を一彩に共有した。一彩は自分のスマホでそれらのページを見ながら「そういえば、車の免許を取ることができるね」と呟いた。
「役所の手続きが一人でできたり、色んなもんの許可が保護者なしでおりたりするんだよ。成人するってのはそういうことだ」
 言いながら、俺は自分でちょっとだけダメージを受けた。
一彩はいつの間にか一人でなんでもできる自立した大人になっていたんだな。


◇◇◇

 夜は藍良と会う約束をしていたので、飲みに行くという兄さんと別れて僕は先に帰寮した。僕が戻るのをどこかで見ていたのか、藍良が共有のリビングで出迎えてくれる。
「ヒロくん、お帰りィ」
「ただいま藍良」
 目の前まで歩いてきてくれたと思ったら、そのまま辺りを見渡してから僕の肩にもたれてきた。僕は両手いっぱいの荷物を藍良にぶつけないようにしながら受け止めてあげる。幸い、周りには誰もいなかった。ふわりと石鹸の香りがする。
「どうしたの?」
 荷物で手が塞がっているせいで、頭や背中を撫でてあげられないのが惜しい。藍良はいま甘えたい気分みたいなのに。
「兄弟水いらずのおでかけは楽しかったですかァ?」
 藍良が拗ねたような声でそう言って、僕の肩に頭をぐりぐりと押し付ける。ふふ、かわいい。
「楽しかったよ。何? やきもちを妬いているの?」
「悪い?」
「ううん、とても気分がいいよ」
「何それェ」
 今日の藍良はやけに素直だ。心配もしてくれたんだろう。
「これは?」
 藍良が僕の荷物を半分持ちながら中身を聞いてきた。袋の中には今日の戦利品がたっぷり入っている。
「お土産だよ。一緒にごはんにしよう」

 僕は帰る途中、スマホでシアタールームを予約しておいた。星奏館内で二人きりで過ごせる場所は、会議室かシアタールームしかない。僕は買ってきたサンドイッチとジュースをテーブルに並べて藍良と乾杯した。
 パチンコで手に入れた大きなクマのぬいぐるみを、藍良はとても気に入ってくれた。藍良の膝に乗ったそのクマは、僕が持ち歩いていた時よりも少しだけ大きく見える。
 シアタールームに備え付けられている大きなスクリーンに、今は用はない。
「美味しかった。ありがと、ヒロくん」
 藍良はクマの首元に飾られているリボンを整えながら言った。かわいいぬいぐるみは、やっぱり藍良が持っている方が似合う。
「それで、今日は何をお勉強してきたのォ?」
 藍良は、僕が兄さんと二人で出かけたことに少し妬いているようだ。お互いに別の友人と遊びに出かけることはあるけれど、今回は藍良は「年齢制限」で参加できなかったことが悔しいらしい。藍良が十八になるのは半年以上先だ。
「藍良には刺激の強いものばかりだったよ。藍良が十八になったら僕が守ってあげるからね」
 兄さんが僕に色々教えてくれたみたいに、今度は僕が藍良に教えてあげたい。僕がひとつだけ年上なことを、今日は特別嬉しく思った。
「ハイハイ、それはありがとねェ」
 藍良がぬいぐるみをぎゅっと抱きしめて僕の肩にもたれてきた。今日は一日藍良のことを放っておいてしまったから、しっかり甘やかしてあげようと思う。ぬいぐるみをそっとどかすと、顔を真っ赤にした藍良と目が合った。思わず笑って頬を撫でると、藍良が僕の手のひらに頬をすり寄せてくる。
 シアタールームの薄暗く少し乾燥した空気の中だからか、藍良の肌がより柔らかく瑞々しく感じる。もっと触れたい。ついつい欲張ってしまう。
「藍良、十八になったら許可されることをネットで色々調べたんだけど」
「うん?」
「二人とも十八になったら婚姻を結ぶことができるんだって」
 藍良が大きな目を見開いて、また頬を真っ赤にした。見つめていたら恥ずかしそうに目を逸らされる。その表情の動きをひとつひとつ、僕は観察した。
「……それ、おれが十八になった時にもう一回教えて」
「ふふ、分かった」
 堪らなくなって、僕は藍良にキスをした。
 小さくてかわいい、ひとつ年下の僕の大切な人。
 これからは僕が先に色々なことを知って、君に教えてあげられたらと思う。これは沢山のことを教えてくれた君への恩返しだから。
僕が先に大人になることを、どうか寂しがらないで欲しい。



おわり
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