天然と馬鹿の紙一重
*マイソロ2設定
*ガイ&アッシュvsユーリなユリルク
青く穏やかな空が続く昼下がり、バンエルティア号の食堂にルークはいた。
うきうきした様子のルークの手元にはできたてのオムライス。パニールにお願いして作ってもらったものだ。きょろきょろと辺りを見渡し、丁度空いていた部屋の端の方の席に着席した。
「いただきます!」
手を合わせ、早速食べ始める。貴族のルークにとってここでの食事は今までにないメニューばかりだったが、むしろこちらの食事の方が合っていると思うくらい美味しくて大好きだった。特に好むのは子供っぽいものが多いが、当の本人は気付いていない。
空腹を満たすように、だがゆっくり味わいながら嬉々として食べていると視界に黒いものが入ってきたので自然とそちらに顔をむける。
そこには髪から服まで全身に黒を身にまとうユーリがいた。
「よお坊ちゃん。」
「あ、ユーリ。ユーリも食事か?」
「まぁそんなとこだ」
ひらっと手を振りながらユーリは笑みを浮かべ、ルークの元に足を運んだ。
そして特に何を言うこともなく、ルークの隣に腰かける。見ればユーリは普段から持ち歩いている愛剣以外は持っておらず、それに首を傾げる。
「?何か食べに来たんじゃないのか?」
食べ物らしきものを何も持っていないことを問うと、ユーリはテーブルに片肘をつき頬杖をしながらルークを見て甘い笑みを浮かべる。その様になる姿に普通の女子なら見惚れてもおかしくないが、ルークは男であるし、天然バカと周囲から揶揄されるほどそういったものには疎い。ただただ不思議そうにするルークにユーリはニヤッと先ほどとは違う笑みを浮かべる。
するとルークが今まさに口に含もうとしていたオムライスの乗ったスプーンを指さす。
「ルークのそれ、食わせてくれよ」
「これ?」
「ああ」
「?別にいいけど…」
オムライスが食べたいのかなと思いつつ、ごく自然にユーリの口元にそのままスプーンを運ぶと、待ってましたと口が開かれる。するとバンっと食堂の扉が勢いよく開き、ルークは驚きすぐさまそちらの方に目を向ける。それに対して隣からチッと小さな舌打ちが聞こえたような気がしたが、それよりも扉の方にいた人物に目をぱちぱちと瞬かせる。そこには眉間の皺をいつもより2倍濃くし明らかに機嫌が悪いアッシュと、その後ろには何か心配そうに辺りを見やるガイがいた。何かあったのだろうかとルークは困惑していると、二人は部屋を見渡し、ルークの方を見るや否や驚愕した表情を浮かべる。だがそれも一瞬で、二人は一直線にこちらへ向かい、ルークとユーリの前で立ち止まる。アッシュは…物凄く機嫌が悪そうだ。見ればガイもわずかに険しい顔をしている。
「ど、どうしたんだ?二人とも…何かあったのか?」
恐る恐る問いかければ、アッシュは眉をピクリと上げ、更に不機嫌オーラが増す。思わずびくっと体が反応する。怖え。
「何かあったのか、だと?てめぇが勝手にいなくなりやがったからだろうがっ!」
「え、でもちゃんと書き置きしただろ?」
「あのなぁ、ルーク…『ちょっと出かけてくる』は書き置きにならないぞ」
ため息をつきながら心配したんだとガイから言われると、それは悪いことをしたなと思いつつ、どこまで過保護なんだとも思う。
「わ、悪かったよ、ちょっと腹減って…」
「で、お前がなんでそこにいる」
ルークの話を遮り、いつもよりも低い声で隣にいるユーリに問うアッシュ。
無視かよという言葉はアッシュから発される殺気に近い怒気に飲み込まざる負えない。なっぜそんなに怒っているのだろうかと思う。
「なんでって、お前にゃ関係ないだろ。俺がここに居たいからいんだよ」
「…今、こいつに何させてやがった」
「見てわかんねぇのか?ルークから俺に(強調)このオムライスを食わせてもらうとこだったんだよ、悪いか」
「悪いに決まってんだろうがっ!!」
「決まってねぇよ、ルークはいいって言ったぜ?なぁルーク」
「うわっ」
「!!」
突如ユーリに肩を抱き寄せられ、ルークはそのままぽふっと音を立てながらユーリの胸の中に納まる。それを見たアッシュとガイは驚くと同時に黒いオーラを漂わせる。
それを見ながらいい笑顔を返すユーリ。
「てめぇ…!さっさと屑を放しやがれっ!!!」
「ルーク、ユーリから離れるんだっ」
そういうなりぐいっとガイは力づくでユーリとルークを引きはがす。
「うおっ!?」
「邪魔すんじゃねぇよ、お前ら」
舌打ちでもしそうな勢いでアッシュとガイを睨みつけるユーリに、二人も負けじと睨みをきかせる。
両者の間に火花が散る。
なんだろう、物凄く空気が悪い…気がする。
今の状況についていけずそんな事を考えるルークを他所に、睨み合う3人。
それらの顔を伺いつつ、ルークは自分のもつスプーンを見る。
スプーンの上にはパニールが作ってくれたオムライス。とても美味しそうだ。
3人はお腹が減っているんだろうということはわかるが、でもそれならパニールに頼んで同じものを作ってもらえばいいのではないかと首を捻る。彼女なら喜んで作ってくれるはずだ。
「なぁ、そんなに食いたいならパニールに頼んで…」
「そういう問題じゃないんだルーク」
首を振りそうじゃないと言うガイに他の二人も同じだと頷く。それに対してますます分からないとルークは困惑する。その様子に隣に座っているユーリは目元を僅かに緩め、小さくため息をつく。
「あのな、俺は別に腹が減ってるから食いたいって言ってるわけじゃないんだぞ?」
「へ?そうなのか?じゃあなんで?」
「そりゃあ…お前から貰うってことが俺らにとっては重要なんだよ」
その言葉にルークはきょとんとする。目の前に座るアッシュとガイを見ると同意するようにルークを見てくる。その状況に目をぱちぱちと瞬かせ、困ったように眉を下げる。自分から貰うことが重要、というのはどういうことなのだろう。首を傾げながら改めて手元のオムライスを見て悩みこむルークを見て、3人は内心ため息をつく。ここまで言ってもわからないのかという残念な気持ちとそんな所も可愛くてしょうがないという複雑な思いを抱く。
しばし沈黙が続いたが、ルークは何かに気が付いたのかハッとしたように顔を上げる。
そしてその顔には驚愕の色がありありと浮かんでおり、そしてすぐに何かを納得したようにそっかと呟き頷く。それに3人は眉を顰める。いったい何を思いついたのか。
*ガイ&アッシュvsユーリなユリルク
青く穏やかな空が続く昼下がり、バンエルティア号の食堂にルークはいた。
うきうきした様子のルークの手元にはできたてのオムライス。パニールにお願いして作ってもらったものだ。きょろきょろと辺りを見渡し、丁度空いていた部屋の端の方の席に着席した。
「いただきます!」
手を合わせ、早速食べ始める。貴族のルークにとってここでの食事は今までにないメニューばかりだったが、むしろこちらの食事の方が合っていると思うくらい美味しくて大好きだった。特に好むのは子供っぽいものが多いが、当の本人は気付いていない。
空腹を満たすように、だがゆっくり味わいながら嬉々として食べていると視界に黒いものが入ってきたので自然とそちらに顔をむける。
そこには髪から服まで全身に黒を身にまとうユーリがいた。
「よお坊ちゃん。」
「あ、ユーリ。ユーリも食事か?」
「まぁそんなとこだ」
ひらっと手を振りながらユーリは笑みを浮かべ、ルークの元に足を運んだ。
そして特に何を言うこともなく、ルークの隣に腰かける。見ればユーリは普段から持ち歩いている愛剣以外は持っておらず、それに首を傾げる。
「?何か食べに来たんじゃないのか?」
食べ物らしきものを何も持っていないことを問うと、ユーリはテーブルに片肘をつき頬杖をしながらルークを見て甘い笑みを浮かべる。その様になる姿に普通の女子なら見惚れてもおかしくないが、ルークは男であるし、天然バカと周囲から揶揄されるほどそういったものには疎い。ただただ不思議そうにするルークにユーリはニヤッと先ほどとは違う笑みを浮かべる。
するとルークが今まさに口に含もうとしていたオムライスの乗ったスプーンを指さす。
「ルークのそれ、食わせてくれよ」
「これ?」
「ああ」
「?別にいいけど…」
オムライスが食べたいのかなと思いつつ、ごく自然にユーリの口元にそのままスプーンを運ぶと、待ってましたと口が開かれる。するとバンっと食堂の扉が勢いよく開き、ルークは驚きすぐさまそちらの方に目を向ける。それに対して隣からチッと小さな舌打ちが聞こえたような気がしたが、それよりも扉の方にいた人物に目をぱちぱちと瞬かせる。そこには眉間の皺をいつもより2倍濃くし明らかに機嫌が悪いアッシュと、その後ろには何か心配そうに辺りを見やるガイがいた。何かあったのだろうかとルークは困惑していると、二人は部屋を見渡し、ルークの方を見るや否や驚愕した表情を浮かべる。だがそれも一瞬で、二人は一直線にこちらへ向かい、ルークとユーリの前で立ち止まる。アッシュは…物凄く機嫌が悪そうだ。見ればガイもわずかに険しい顔をしている。
「ど、どうしたんだ?二人とも…何かあったのか?」
恐る恐る問いかければ、アッシュは眉をピクリと上げ、更に不機嫌オーラが増す。思わずびくっと体が反応する。怖え。
「何かあったのか、だと?てめぇが勝手にいなくなりやがったからだろうがっ!」
「え、でもちゃんと書き置きしただろ?」
「あのなぁ、ルーク…『ちょっと出かけてくる』は書き置きにならないぞ」
ため息をつきながら心配したんだとガイから言われると、それは悪いことをしたなと思いつつ、どこまで過保護なんだとも思う。
「わ、悪かったよ、ちょっと腹減って…」
「で、お前がなんでそこにいる」
ルークの話を遮り、いつもよりも低い声で隣にいるユーリに問うアッシュ。
無視かよという言葉はアッシュから発される殺気に近い怒気に飲み込まざる負えない。なっぜそんなに怒っているのだろうかと思う。
「なんでって、お前にゃ関係ないだろ。俺がここに居たいからいんだよ」
「…今、こいつに何させてやがった」
「見てわかんねぇのか?ルークから俺に(強調)このオムライスを食わせてもらうとこだったんだよ、悪いか」
「悪いに決まってんだろうがっ!!」
「決まってねぇよ、ルークはいいって言ったぜ?なぁルーク」
「うわっ」
「!!」
突如ユーリに肩を抱き寄せられ、ルークはそのままぽふっと音を立てながらユーリの胸の中に納まる。それを見たアッシュとガイは驚くと同時に黒いオーラを漂わせる。
それを見ながらいい笑顔を返すユーリ。
「てめぇ…!さっさと屑を放しやがれっ!!!」
「ルーク、ユーリから離れるんだっ」
そういうなりぐいっとガイは力づくでユーリとルークを引きはがす。
「うおっ!?」
「邪魔すんじゃねぇよ、お前ら」
舌打ちでもしそうな勢いでアッシュとガイを睨みつけるユーリに、二人も負けじと睨みをきかせる。
両者の間に火花が散る。
なんだろう、物凄く空気が悪い…気がする。
今の状況についていけずそんな事を考えるルークを他所に、睨み合う3人。
それらの顔を伺いつつ、ルークは自分のもつスプーンを見る。
スプーンの上にはパニールが作ってくれたオムライス。とても美味しそうだ。
3人はお腹が減っているんだろうということはわかるが、でもそれならパニールに頼んで同じものを作ってもらえばいいのではないかと首を捻る。彼女なら喜んで作ってくれるはずだ。
「なぁ、そんなに食いたいならパニールに頼んで…」
「そういう問題じゃないんだルーク」
首を振りそうじゃないと言うガイに他の二人も同じだと頷く。それに対してますます分からないとルークは困惑する。その様子に隣に座っているユーリは目元を僅かに緩め、小さくため息をつく。
「あのな、俺は別に腹が減ってるから食いたいって言ってるわけじゃないんだぞ?」
「へ?そうなのか?じゃあなんで?」
「そりゃあ…お前から貰うってことが俺らにとっては重要なんだよ」
その言葉にルークはきょとんとする。目の前に座るアッシュとガイを見ると同意するようにルークを見てくる。その状況に目をぱちぱちと瞬かせ、困ったように眉を下げる。自分から貰うことが重要、というのはどういうことなのだろう。首を傾げながら改めて手元のオムライスを見て悩みこむルークを見て、3人は内心ため息をつく。ここまで言ってもわからないのかという残念な気持ちとそんな所も可愛くてしょうがないという複雑な思いを抱く。
しばし沈黙が続いたが、ルークは何かに気が付いたのかハッとしたように顔を上げる。
そしてその顔には驚愕の色がありありと浮かんでおり、そしてすぐに何かを納得したようにそっかと呟き頷く。それに3人は眉を顰める。いったい何を思いついたのか。
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